第1回『浅沼 諒空さん』 ~前半~【ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」】
始まりました! 「ボイドラと人」
◆「ボイドラと人」とは?
ボイスドラマ(略してボイドラ)作品に関わる活動者さんにインタビューし、活動内容や思いを聞き出そう! という自称ボイスドラマリスナーの幸橋による連載企画です。
ボイスドラマ (Voice Drama) とは、音声や音だけで物語等を表現したものである。
同種の表現形態として先に挙げた朗読劇、ラジオドラマなどがあるが、「ボイスドラマ」といった場合、同人活動やネット声優に関連して製作されるメディアを指すことが多い。
<wikipediaより引用> ボイスドラマ - Wikipedia
商業と同人を明確に分けるのは難しいですが、基本的には同人活動者がメインになる予定です。
第1回目は浅沼諒空さん。ボイドラの活動を始めた経緯やばなわに結成の裏話、今年上演されたリーディングライブ「una:chenter vol.12」についてお聞きしました。
普段に無い真面目お話が飛び出しますよ(笑)
【本日のお相手】
■インタビュアー:幸橋
ボイスドラマリスナー。
2009年よりボイスドラマ作品を聴き始め、2013年より開始した感想メモブログ「視聴note」にてボイドラ関連の記事が700件を突破(2017年6月時点)
■ゲスト:浅沼諒空さん
演者、企画者。
音声劇団ばなわにの主催者。中年男性を中心に幅広い役どころで多くの作品に出演。ネット上の活動だけではなく、リーディングライブ「una:chenter」を企画、公演している。
出演可能な役:少年、男性(青年、中年、老人)、その他(オカマ、人外など)※依頼可
URL:http://banawani.web.fc2.com/
幸橋:
こんにちはーー!!!!
浅沼諒空さん(以下、浅沼):
こんにちはー、はー、はー……
幸橋:
なぜ、エコー、そして、消えていった!? それはさておき、始まりましたね「ボイドラと人」! これは、ボイスドラマ作品で活動している方にリスナー幸橋がインタビューしていくという連載企画です。初回は「音声劇団ばなわに」の園長さんこと、浅沼諒空さんです!よろしくお願いします!
浅沼:
お願いします! (アルコールぐびぐび)
幸橋:
初回に出て頂きありがとうございます! 浅沼さんはこの「ボイドラと人」の発案者でもありますので、最後に「ボイドラと人」についても、少しお話をお聞きしたいなと思っています。
浅沼:
どうぞー
- 『ボイスドラマ活動を始めるまで~事務所、リーディングライブ、リングアナウンサー……~』
- 『ボイスドラマサークル「音声劇団ばなわに」を始めたきっかけとは』
- 『ばなわにさんの不思議~ここがボイドラサークルでは珍しい(by幸橋)~』
『ボイスドラマ活動を始めるまで~事務所、リーディングライブ、リングアナウンサー……~』
幸橋:
その前に、浅沼さんのご経歴をお聞きしたいと思います。ボイドラの世界に入ったのは2011年だとか?
浅沼:
そうですね。
幸橋:
意外だったんですよね。浅沼さんは大御所って感じがしてたので。
浅沼:
2003年くらいに事務所に所属してナレーションやリポーターの仕事をしていました。その後、しばらく堅気の仕事をしてブランクがあったのですが、2007年にmixiで初心者や経験の浅い人なんかで演劇をしたい人たちが集まったグループがあって、そこでスタッフとして参加しました。
幸橋:
演者ではなくて、スタッフだったんですね。
浅沼:
スタッフワークがしてみたくて。でも、残念ながら合わなかったので、他にも同じように思っている人を集めてリーディングライブを始めたのが、再度活動を始めるきっかけでしたね。自慢と言う訳では無いですが、その頃、リーディングライブという言葉自体定着してなかったと思うんですよね。それの先駆けだったのかなと今振り返ると思います。それを1年間くらい続けて、プロレス団体のリングアナウンサーに。
幸橋:
いやあ、どこかで見かけた時に面白いなと思ったんです。リングアナウンサー(笑)でも、なんとなくわかるような気もします。
浅沼:
そうですか?(笑)で、2010年にワニズホールというところで、中編短編のオムニバス作品のスタッフキャスト募集をしていてそれに応募して、舞い戻りました。
幸橋:
ちゃんとご経歴聞いたのは今回が初めてでしたが、やっぱりそういう声を使ったお仕事をされていたんですね。その中でボイドラの活動を始めたきっかけは?
浅沼:
演劇の世界に戻ってきた時に、自分発信でも何かやろうと思って、ネット上で募集をかけたのが活動の始まりです。また、今は無きmixiで、有償の宅録案件があって、その収録のために機材を揃えました。
幸橋:
mixiまだありますけどね(笑)
浅沼:
最近、ログインしてないからわからないですね(笑)
幸橋:
2011年って他にはどなたが出てきましたっけ?
浅沼:
男性なら成海修司*1や横割れスプーン*2、wash*3とかですかね。
幸橋:
わーわー! わかる方ばかり! 本当ですか? 成海さんとかもっと前からいらっしゃると思ってました。
浅沼:
自分もそう思いました。そういう古参? がまた戻ってこないかなと思いますね。
幸橋:
わかります! わかります!(インタビュアー最大のヒートアップ)横割れさんとか戻って来てほしい! 成海さんやwashさんも見かけることが減って、寂しい!!
浅沼:
(若干、引き気味)それで、古参と新しい人が一緒にやれると良いですね。
幸橋:
わかる!! 2011年からと言うと6年間ですか。その短くはない期間、変わらずボイドラというジャンルにいる理由は何なのでしょうか。
浅沼:
演じられるからですね。よく出演する作品や演じるキャラへの愛を語る人がいますが、自分はキャラに愛されるように演じたい。演じる事への愛は他の人には勝てると思っています。
『ボイスドラマサークル「音声劇団ばなわに」を始めたきっかけとは』
幸橋:
浅沼さんはばなわにの園長さんというイメージが切っても切り離せませんが、ばなわにを作ろうと思った理由は何だったんですか?
浅沼:
実はばなわにの前に前身となるサークルがあったんですよ。だけど、サークルの代表がクソで、1作品も作らず、動かなくなり、また、1回目のリーディングライブ公演「una:chenter」も2011年3月に予定していたのが、震災で延期になってしまいました。その事もあって、当時、脚本で関わっていた自分を入れた3人で仕切り直そうという話になったんです。
前身サークルから演者さんも引き抜いて。その頃、ちょうどそのサークルに入ろうとしていたのが、はやかわそうたでした。彼を呼んで、他にも「una:chenter」で参加していたメンバーに声をかけて、サークルとしての形になたのが2011年6月です。
幸橋:
単純な疑問なんですが、「ばなわに」ってどういう意味ですか?
浅沼:
渡辺製作所という同人ゲームサークルが作った作品の中に「ネコアルク」というキャラがいて、その隠れ必殺技が「ばななわに園に行きたい私」だったんです。その名前をパクッてコミュニティを作っていた時期があったんですが、さすがにそのままは使えず、短くしました(笑)
幸橋:
そのゲームに関わりは(笑)
浅沼:
全くないです!
『ばなわにさんの不思議~ここがボイドラサークルでは珍しい(by幸橋)~』
幸橋:
ばなわにさんって正直不思議だと思っていて。劇団さんみたいに抱えている演者さんがいて、だけど、新しい方もばんばん使って。風通しが良いなと感じるんですよね
浅沼:
サークルが出来た当初にボイドラ界隈の話をしていて、最初、同じ人ばかりを使うのが納得いかなかったんですよね。同じ役者を使うと飽きるのでは? と思って、バリエーションを広げたかった。今では同じ役者を使う気持ちもわかりますけどね(土下座)
また、ちょうど自分が外部企画に応募して出演することが増えて、知り合う人が多かった。その人に声をかけて繋がっていきました。
幸橋:
一時期、中年男性役と言えば浅沼さん! という印象がありました。だから、そういう枠での採用が多かったんですかね。
浅沼:
それもっと言って欲しい!(手足バタバタ、鼻息荒く)中年男性が出来る人は、表に出てこなかっただけで前からいたとは思います。今は増えましたよね。
幸橋:
新しい人を起用するのは新しい風が入りますが、やはり慣れて気心知れた人よりも苦労があるのでは?
浅沼:
ばなわには客演がデフォルトだったので、新しい役者を使うことは特に抵抗はなかったですね。確かにばなわにも同じ役者を使います。でも、それは良い役者に出会うと掘り下げたくなるからです。
幸橋:
一緒にやる人は信頼できる人が良いと思う企画者さんが多いと思いますが、そこはどうですか?
浅沼:
信頼感は特にこだわっていません。提出が遅いなら待てばいいと思っています。先ほど言ったように役者のポテンシャルを引き出すことに関心があるんです。台本によってその役者のカラーが変わるので、気に入った役者は何度も使って、別の魅力を引き出したいです。その人のポテンシャルを見せることには自信がありますよ。
幸橋:
凄いですね。私も企画していた時がありますが、なかなかそう考えるのは難しくて。完成させることにあっぷあっぷしていました。魅力を引き出すというよりも、演者さんが持っている魅力を出して貰う、出せる演者さんを使うことが多くて。
浅沼:
他のサークルさんは作品ありきですが、自分は演出家が必要に迫られて脚本書いているようなものなので。他の人の脚本で良いくらいです。
幸橋:
なるほど。ばなわにさんは無形というかつかみどころがないと思っていたのですが、作品ありきではなく、人ありきだからなのかもしれませんね。その作品でピックアップされた演者さんのカラーが作品のカラーになっている気がします。
浅沼:
それにこいつのこういうところを見てみたいと思う企画者は他にもいると思いますよ。
幸橋:
確かに。例えば、インタビュー外で話題に出ていたiDearoom*4
さんとか、この人をこんな使い方するんだーと思う事があって。探せば、演者さんの魅力を引き出したいと考えている方は多いのかもしれません。
浅沼:
役者本人がわからないものを引き出して行くのが演出の役割です。でも、ボイドラには演出が出来る人がなかなかいないので、現実は、本人がその引き出しを持っているかいなかになってしまうんですよね。
幸橋:
わかります……そんな風に新しい方を起用する一方で、ばなわにさんは劇団のように特定の演者さんを抱え込んでもいますよね。
浅沼:
前身のサークルで浮かばれなかった人に受け皿を作りたいと思ったのもばなわにを作った理由の1つです。例えば、ばなわに園児の渡部悠奈*5
は今は力をつけましたが、元々は内向的でばなわにがなかったらどうなっていたのかなと考える時があります。
なぜかボイスコとして活動する事を敷居が高いと思っている人がいて。
幸橋:
確かに、なぜと思っちゃいますね(笑)機材があって、収録できれば皆ボイスコだと思いますが。
浅沼:
そうそう。でも、敷居が高いと思う人がいるので、そういう人に対して、入る時の敷居を下げて、入ってからはある意味ハードルを上げて、役者を魅力的にしていけたらなと思います。
幸橋:
ばなわには役者を育てていく機能もあるんですね。
浅沼:
育てるというより勝手に育っているだけですよ。でも、皆さんが使っている役者が魅力的になるのは場数も関係あると思いますから。
幸橋:
育てるという点でもそうですが、ばなわにさんはわざわざ巻き込む人を増やしてると思うんです。特定の人に限定してしまえば企画を進めるのは楽ですよね。例えば、脚本家も1人だけにしてしまえば、やりとりは減る。それなのに、複数の人に依頼して、大変な方に大変な方に進んでいるように見えるんですよね。
浅沼:
大変であればあるほど楽しいんですよ。人が多いと楽しいんです。あと、関わる人がたくさんいると、M3の時、ばなわにのブースに人がたくさん来るので、にぎやかしにもなりますし(下衆笑)
幸橋:
またまたー、そういうことをおっしゃる(笑)
浅沼:
まあ、M3*6に出演する作品がないと寂しいと言う人もいるので、そういう人に声をかけたり。企画への愛がないんですかね。脚本家としての欲求がない訳では無いですが、役者を踏み台にするよりも、自分の企画が踏み台になる方が良いと思うんです。
あまり深い意図はなくて、暇だったら遊んでねという感じです。それで出演した役者に何か気づきがあれば良いなと。
【後半に続く】
*1:幅広い役柄を演じる男性演者さん。幸橋の2016年ベスト演者さんでもあった(蛇足)
https://twitter.com/syuujin763
*2:独特な優しい声が中毒性が高い男性演者さん。最近、名前を見かけなくて泣くファンが多数、のはず
*3:青年から渋いおじさんまで出来てしまう意外に役の幅の広い男性演者さん(意外には余計)
*4:ボイスドラマ制作サークルさん。現代ものからファンタジーまで、シリアス、ギャグもなんでもござれ。作品を多数発表し、よく知られているサークルさんの1つ、だと幸橋は思っている
*5:ばなわに園児のお1人。低い声が素敵な男性演者さん
*6:音系・メディアミックス同人即売会。春と秋の年2回開催。同人ドラマCDを手に入れるのにここほどコスパの良いところはない(by幸橋)