ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」

ボイスドラマ作品に関わる活動者さんにインタビューし、活動内容や思いを聞き出そう! という自称ボイスドラマリスナーの幸橋による連載企画です

第18回『黒井メラさん』【ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」】

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ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」第18回は、ご自身の長編小説を丸っとボイスドラマ化して、その圧倒的なボリュームと迫力と個性でリスナーの心を鷲掴みにする企画者の黒井メラさんです!
別に原作がある音声作品は数あれど、長編小説をボイスドラマ化して、ここまで小説の面白さを損なわずに音声表現へと作り変えることに成功した作品はほとんどない!(インタビュアー談)と思って制作の経緯や裏話を聞いてきました!
 

 

【本日のゲスト】
黒井メラさん

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企画者
ゾンビ×BL作品としての執筆していたナイトメアシリーズを音声化。「ナイトメア シティ・インテグラル」、「アポカリプス」(完結)、「LSD」を発表している。
URL:
 
幸橋:
オリジナルボイスドラマが良い! と主張し続けてきた私に、小説のボイスドラマ化も良いんじゃないか?と思わせた作品、「ナイトメア シティ・インテグラル」*1その原作者で、音声化作品の企画者でもある黒井メラさんをお呼びしました! よろしくお願いします!
 
黒井メラさん(以下、黒井):
よろしくお願いします。
 

『ナイトメアシリーズに関して~基礎的な世界観やキャラクター紹介~』

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幸橋:
ちなみに呼んでおいてなんなんですが、私、ナイトメアシリーズの全容がよくわかっていないので、まずはどういうお話かを教えて頂けますか?
 
黒井:
元々は趣味で書いていたWEB小説のシリーズです。要素としてはBLとゾンビものですね。音声化したシティ・インテグラルの前に実は2作品あって、シティ・インテグラルは3作目で、シリーズの最終話になる予定です。
 
幸橋:
3作品はつながっているんですよね?
 
黒井:
つながっていますし、世界も同じです。ですが、メインキャラは各物語によって違って、毎回出て来るのは、シティ・インテグラルにも出て来るヒロシ君くらいでしょうか。
 
幸橋:
このシリーズでは、ネクロノミコンというすごい力を持った存在が敵?としていますが、シリーズ通した最終的な目的はこの存在を倒す事で良いんですか?
 
黒井:
はい。
 
幸橋:
えーと、このネクロノミコンって結局何なんでしょう?(苦笑)いまいちまだよくわかってなくて……
 
黒井:
ネクロノミコン自体は、クゥトゥルフ神話のパロディです。敵キャラ、というか、魔導書・アイテムとして登場します。所有すると強大な力を手にする代わりに良心が壊れます。ナイトメアでは神様に近い存在、邪神として描かれていますね。この存在と戦っているのが、シリーズ通して登場するヒロシ君で、1作目、2作目でも勝てずに今に至っています。この魔導書が人の手に渡ることによってゾンビが出て来ますし、ネクロノミコンが好き勝手する事で時間軸がめちゃくちゃになっています。
 
幸橋:
あー、だから、この世界にはゾンビがいるんですね。
他にボイスドラマ化している作品としては、アポカリプス*2LSD(Lucky Sky in the Diamond)*3がありますが、これはシリーズの中ではどういう位置付けなんでしょうか?
 
黒井:
LSDはシリーズの番外編・スピンオフという扱いです。世界観は共通ですが、別世界・パラレルワールドで、ゾンビは出てきません。クリーチャーものをやりたいと思って作りました。
アポカリプスはインテグラルの前日談で、これも番外編です。以前、読者リクエストで書いたナイトメア クライシスという作品があって、その続きにあたります。ですが、アポカリプスだけでも読めるので、音声化してもいけるかなと思って、制作しました。
 
幸橋:
小説としてもこのシリーズはかなり量がありますが、いつ頃から書いているんですか?
 
黒井:
5~6年前くらいでしょうか。元々は健全というかもう少し明るいBLを書いていたのですが、人気が出なかったんです。この路線だと他に人気がある作品がたくさんあったので、埋もれてしまったんでしょうね。ですから、好きな要素に走りました。ゾンビものは中学生時代から好きでしたので(笑)
 
幸橋:
5~6年でこのボリューム書くのもすごいですねー
 

『小説をボイスドラマ化した訳~映画に近いものを~』

幸橋:
そんなナイトメアシリーズですが、どうして、ボイスドラマ化しようと思ったんですか?
 
黒井:
映画に近い形で自分の作品を再現したかったというのが最初にあります。
専門学校で映像の勉強をしていて、映画制作の補助もしていました。ですが、監督業はできず、自分で作りたいものが作れるわけではありませんでした。作品が完成せず、パーになることもあります。また、撮影は体力的にも精神的にもしんどいので、自分で映画制作をすることも出来ず、同人で何か出来ないかと思い、音声化しようと思い立ちました。
 
幸橋:
学生さんの頃から小説は書いていたんですね。
 
黒井:
はい、小説は専門学校時代から趣味で書いていて、社会人になってからサイトを持ち始めました。
 
幸橋:
映画の制作に関わっていらっしゃったということですが、脚本の勉強もしていたんですか?
 
黒井:
いえ、脚本を習ったことはなくて、独学ですね。
 
幸橋:
お話聞いていると、趣味でボイスドラマや音声作品を作っている人たちがいるとは知らない状態で始められたという感じですね。
 
黒井:
そうですね。頭にあったのは映画の自主制作みたいな感じでした。ただ、依頼を受けられるようにライター登録しているサイトがあるのですが、その中に音声のカテゴリーがあって、音声を録音しますといった依頼を受けている人たちがいたんですね。それで、調べてみて、そういう活動をしている人がいると知りました。作り方も知り合いが全くいない状態でこのジャンルに入ったので、調べて独学でしたね。右も左もわからない内に踏み込みました。
 

『長編小説のボイスドラマ化』

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幸橋:
よくある小説の音声化って、番外編だけの音声化、要素だけピックアップした省略バージョンの作品が多いと思うのですが、どうしてナイトメアシティ・インテグラルを始めとしたボイスドラマ作品は小説をそのまま音声化したんですか?
 
黒井:
部分的に作品化することは全く考えていませんでした。それで、インテグラルの良さが伝わる自信がなかったんです。なので、外伝とかではなく、一気にやってしまおうと。
 
幸橋:
なぜ、1作目、2作目をとばしてインテグラルから音声化したんでしょう? 
 
黒井:
ナイトメアの良さがわかりやすくて、インパクトがあるのが、インテグラルだったんです。一番ゾンビものの良さが書けている作品でもありましたし。
本当はプライベートで色々あって、インテグラルが最後の創作作品になると思っていたので、インテグラルを一気に作ってしまおうと思ったのですが、作っている内に創作が楽しいと思うようになって、アポカリプスとLSDも作り始めてしまったんですよね。そう考えると最初から作った方が良かったのかな?という気もしないではないですが、聴いている内に過去はどうなっているんだろうと小説に興味を持って貰えるのでは……とも思ったり。
 
幸橋:
インテグラルだけでも実際聴けますからね。でも、過去作品の音声化は考えていらっしゃらないんですか?(チラッ)
 
黒井:
音声化するつもりはないことはないですが、私のキャパが残っていればですね。まずはLSDインテグラルを先に終わらせないとなあと思っています。
 
幸橋:
見る限りボイスドラマはほぼ原作に忠実に作られているように見えますが、違いはありますか?
 
黒井:
セリフが変わっているところはあります。小説はばんばん差別用語を出していますが、ボイスドラマは表現をやわらかくしています。あとは、ボイスドラマは無駄な描写を減らしたので、無駄なく見るならボイスドラマです。癖として小説ではお遊びの会話を入れることがあるので、読んでいる人には冗長なシーンかもしれないと思うシーンがあるのですが、ボイスドラマはそのシーンは削って、疾走感を重視しています。
大幅に展開が違うのは、この春M3で出したLSDの番外編だと思います。原作の話とは重要部分が変更していたりしますね。
 
幸橋:
音声化する際に参考にしたボイスドラマ作品はありますか?
 
黒井:
先ほどお話したように声関係の作品を元々知らなかったので、映画を資料にしています。
 
幸橋:
例えば?
 
黒井:
ゾンビものが好きになったきっかけでナイトメアが生まれたきっかけでもある作品なのですが、ロメロ監督のゾンビ三部作という作品があって、その影響は受けています。
 
幸橋:
そういえば、中学生でゾンビものにハマったと仰っていましたが、私自身あんまりゾンビものの映画を観る事がなくて、ゾンビものの面白さって何なんでしょう?
 
黒井:
ゾンビものは人間の欲のぶつかりあいがすごいんです。ロメア監督のまんまですが「ゾンビ」という作品が良いんです。メッセージ性がすごくて、ゾンビを消費社会の化け物として描いていて、最終的には人間の方が恐いんだよと。観た時はすごい衝撃でした。ゾンビを通して人間を見ているんですよね。ゾンビものにはだいたいゾンビをいじめるシーンが必ずあるのですが、人間のあるがままの姿が描かれているんです。
 
幸橋:
化け物相手だから何をしても良いという人間の汚さが出ますよね。ナイトメアシリーズにもゾンビをいじめるシーンが何度か出てきますね。
 

『制作のモチベーション』

 
幸橋:
小説の音声化に関わらず、長編作品の制作で気になるのは、どうやってモチベーションを維持しているかなんですよね。大変なこと多いじゃないですか。
 
黒井:
大変でしたよ。全部大変でした、編集も人集めも、全てをわかっていなかったので。わかっていく良さ、一から勉強できる良さはありましたが。まあ、結果的に出来ているので良いのかなと思っています。飽き性なので、1年もたずに消えるのではと思っていましたけれど、楽しんでやれていますね。
 
幸橋:
飽き性なんて信じられないですが(苦笑)飽き性だとして、そんな黒井さんが続けるためのモチベーションになっているものは何でしょう。
 
黒井:
作品のイラストや感想・考察を頂けるのが本当にモチベーションです。一次創作をやっている知り合いに聞くとこんなに感想やイラストがもらえることがないと言われますね。感想を頂ける自分は幸せ者だなと手が進みます。私もイラストをもらえるようになったのは音声化してからのように思います。私の作品で二次創作をしてくれるのがモチベーションです。効果音や曲で良いものを見つけるとこれを早く使いたい!と思うので、それもモチベーションでしょうか。
 

『古いと感じさせない作品を』

 
幸橋:
黒井さんはご自身で編集もしていますが、編集は孤独な作業だと思うのですが。
 
黒井:
むしろ、小説書いていた時の方が孤独でしんどかったんですよ。編集は皆の声が聞こえて、皆が傍にいるみたいな感覚ですね。俺たちは離れていても傍にいるぜみたいな(笑)
 
幸橋:
なるほど(笑)しつこいようですが、でも、あの量とあの効果音の重ね方、吐きそうになりませんか?←
悪夢とか意識の混濁の音楽や効果音の重ね方や音のゆがみの表現がいつもすごいなと思っていて、聴く方は良いですが、編集する方は大変だろうなと思って聴いています。
 
黒井:
そこはすごくこだわっています。
 
幸橋:
曲もボイスドラマ作品だとだいたい取って来るサイトが同じなので、聴いたことがある曲だなと思うことがあるのですが、ナイトメアシリーズはそういうことがないですね。
 
黒井:
ビビりなので、他作品と被ったら恥ずかしいなと思って探しているので、見つけるのは確かに大変です。
 
幸橋:
素材は有料?
 
黒井:
曲は海外のフリー素材サイトからで、効果音が有料のものを使っていますね。参考にしているのが洋画なので、海外の曲が良いのかなと思ってしまうんです。他との差別化には気を遣っていて、他では見られないものを作りたいなと思っていました。
小説を書き始めた時も、10年先でも古いと思われないようにしようと心がけていました。小説もボイドラも古いって思われるのは絶対嫌で、その時の流行りの服や要素を取りいれないように、でも、没個性化しないようにと考えていました。どんな作品を作る時も何年後に見てもすごいと思われるもの、自分で後から見て恥ずかしくないものをと心がけています。
 
幸橋:
選曲にもその意図が現れているということですね。
 
黒井:
意識しています。変わったもののの方が、ダサいと思われないじゃないですか。垢ぬけていないと思われたくないんです。きっと見栄っ張りなんです(苦笑)その時代の良さというものもあるとは思いますが、その良さ出せる気がしないので、斬新さを出したいと思うんでしょう。
 
幸橋:
見栄、背伸びは必要ですよ。それが誰かを傷つけなければ良いんじゃないでしょうか。
ちなみにそれだけこだわって、どのくらいのペースで編集しているんですか?
 
黒井:
LSDは短めの30分なので、1か月くらいで1本完成させているようなペースでしょうか。インテグラルとアポカリプスは長いので、もう少しかかっています。
 
幸橋:
世間では30分も長い部類です(笑)
いつ編集してるんですか? お休みとか?
 
黒井:
毎日、会社が終わってから夜に編集をやってますよ。
 
幸橋:
すごい……私、編集がつらすぎて、自分ではもう絶対編集やらない!と思っている人なので、尊敬します。嫌になったりしませんか。
 
黒井:
楽しいですよ。嫌になったら、気分転換してまた編集します。
 
幸橋:
聴いている方からする楽しいと思って作って下さるのは嬉しいですね。
 
黒井:
あ、ただ、編集ではありませんが、自分が演技が出来ないのはコンプレックスで、そこは悩んでいます。企画者だから出来なくてもそんなものなのかもしれませんが、演技がわかれば指導もスムーズにできるのかもしれないとは思いますね。
自分が出来たら良かったなあとは思いませんでしたか?
 
幸橋:
逆質問ですね(笑)うーん、確かに演技の知識があれば、スムーズに進められて自身のストレスは減ったかな?と考えることはありました。でも、今現在のリスナーの立場で、結果物の作品だけ見ると、演技の知識がある人の作品が面白くて、知識が無い人の作品が面白くないということはありませんね。だから、気にしなくて良いのでは?というのが個人的な意見です。
 
黒井:
なるほど、ちょっと気持ちが楽になりました。
 
幸橋:
それは良かった(笑)以上、ミニ幸橋相談室でした~
 

『原作ファンの反応は?』

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幸橋:
音声化にあたって原作の小説ファンの反応はどうでしたか?たぶん皆さん、ボイスドラマ聴き慣れていない上に、すごく作品が長時間じゃないですか。ぶっちゃっけ、聴いて下さってるんですか?
 
黒井:
原作小説が好きな人は作品が長いのを知っているので、聴いてくれています。長さよりもむしろキャラのイメージが変わるから聴けないという方はいます。想像しているキャラの声と違うと嫌だからと。
 
幸橋:
あー、あるあるですね。
 
黒井:
ですが、人によっては心配だったけれど、作風もキャラの声もイメージ通りでした、ごめんなさいとおっしゃる方もいましたよ。作っているのは原作者なので、テイストは同じになりますよね(笑)
 
幸橋:
原作者が音声化に関わると作品のストーリーを削れないと聞いたりしますが、ナイトメアに関しては、小説とほぼ同じなのがあの世界観にどっぷり浸れて良かったと思います。
 
黒井:
原作ファンが喜ぶために忠実に再現をするようにしています。作品の要素だけではなくまるごと拾えて来れるのが1人作業の良さですね。誰かとやるとどうしても省略してコンパクトになってしまう傾向があると思います。でも、要素だけで作ったら、インテグラルの良さが伝わらないと思ったんです。
 
幸橋:
でも、やっぱりあの量を1人でやるのは大変じゃないですか?
 
黒井:
もちろんヘルプを出す場合はあります。でも、1人でだいたいやりますね。こだわりが強いので、原作の雰囲気と異なる形に変更されたくないんです。
 
幸橋:
だから、原液の状態から薄まらないんですね。
 

『キャラを立てる~理由なきサイコパス~』

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幸橋:
最近、唯一本として残っているエレウシスの出血の下巻を読んだんですが、そこでは、ただの狂人だと思っていた自警団のリーダーのルーシーが実はちゃんと色々考えている上で狂っているのがわかったんですよね。ナイトメアには他にも狂っている人がいますが、異常環境で思考も異常になりました、はい、終わりという雑なことをしないのがすごいと思います。あ、ちなみに、完売した上巻の再販予定は……
 
黒井:
ありがとうございます(笑)書籍ですか……今、LSD電子書籍化を進めているのですが、エレウシスでもやろうかな?
 
幸橋:
ぜひ!
 
黒井:
まずはLSDですけどね。
 
幸橋:
LSD電子書籍はどういうものになる予定なんですか?
 
黒井:
サイトにも小説が無料で読めるようには載っているのですが、部分的に削られている状態です。電子書籍では小説のストーリーが全部読めるようになって、無料公開している小説の空白の時間が読めるような仕様になっています。
 
幸橋:
そうなんですね。では、出たら電子書籍買わねば。
話を戻して、狂人と言うとアポカリプスに出て来る木崎も体育教師の目をつぶしたりとか、ネタバレになるので言えませんが、叔父さんが殺された事件のあれこれなどで、なかなかにファンキーなキャラですが、彼もLSDを聴くと、ちゃんと人間らしい思考や苦悩を抱えていて泣きました。
 
黒井:
彼は後付け設定が多いですね。叔父さんの件もどっちの方向に持って行くか半々くらいで書いて、周りの反応を見て、意表を突こうと思って、ああなりました。
狂人キャラで、訳も無く本当に根からキチガイというキャラはあまりいません。LSDの櫻子くらいじゃないでしょうか。あの子が一番頭がおかしいですね。
 
幸橋:
櫻子(苦笑)確かにあの年齢にして父親を殺したり、オーラが違いますね。黒井さんは、キャラの設定やセリフは結構考えている方ですか? それとも勝手に脳内で動いてしゃべってくれるタイプですか?
 
黒井:
勝手にキャラが動くという方いますよね。私の場合はそんなことはありません。ガチガチに決めてしまうということはありませんが、最初にキャラの設定をある程度決めて、追々書きながらキャラを詰めていきます。
 
幸橋:
ナイトメアは、ままならない切なさがうまいと思うんですよね。先ほども言ったように異常環境なのにキャラの思考や行動が雑じゃなくて、ちゃんとそれぞれが考えた結果で、きちんとした理由があるのですが、どう想像しているんですか?
 
黒井:
まず、キャラを立たせないといけないという考えはあります。でも、ルーシーもそうですが、ただのキチガイではないのは、ただのキチガイはちゃんと上手に書ける人じゃないと許されないと思っているからです。
次に、自分だったら、こんなに冷静ではいられないので、実際自分がこの状況に置かれたらとは考えないですね。自分とは正反対の行動を考えることが多いです。
 
幸橋:
共感できるところからではなく、反対を考えるんですね。
 
黒井:
そうです。
理由無きサイコパスキャラは好きですよ。でも、それを書く自信はありません。一応、そんなサイコパスを模索して櫻子さんができました。女性の方がそういうキャラは作りやすかったんですよね。男性はできないと思います。
理由なきサイコパスは映画「ダークナイト」のジョーカーが最高潮と言われていて、観た時にこれを超える自信がないと思って、だいたいどのキャラにもサイコパスな考えになった理由を持たせています。
 
幸橋:
私は逆に理由がある方がグサッと来ましたよ。誰でもきちがいになれるんだなあと思って。ルーシーとか、ルーシーとか、ルーシーとか← あ、すみません、小説の印象が強すぎて(笑)
 
黒井:
いえいえ、良い表現ですね(笑)実際病んだら自分もそう考えるのかなとは思ったりします。ルーシーのきちがいっぷりを知って過去を知るのは斬新な楽しみ方ですね。普通は逆で皆さん小説を読んで、彼には過去にこういう悲惨な体験があると知ってからインテグラルの楽しそうな彼を見ているので。
 
幸橋:
楽しそう……確かに(笑)
 

『キャラを立てる~リアルな大人~』

 
幸橋:
サイコパスに続いて、実は、黒井さんの書くおじさんというか、中年男性キャラも好きで、ちなみに私の一押しはインテグラルの猫屋敷です。
 
黒井:
猫屋敷ですか!? 猫屋敷が好きって初めて聞きましたよ。
 
幸橋:
え、本当ですか。良いじゃないですか、猫屋敷。あのミュージシャン目指していて成功が見え始めたところで昔出演していたAVが流出して、ボロボロになって底辺へ落ちていってヨレヨレになりつつも生きている感じが。で、底辺から少し脱して助かったと思ったらルーシーなんてまた危険な人物にほいほいついて行っちゃうのが(笑)
 
黒井:
猫屋敷はメンタルがすごいですよね。でも、猫屋敷ですか。おじさんキャラが好きなんですか。
 
幸橋:
好きですねー黒井さんは違うんですか?
 
黒井:
私はそんなにおじさんキャラが好きってわけではないですね、好きなんだと誤解されますが。
 
幸橋:
意外です。黒井さんのおじさんキャラに厚みがあるので。
 
黒井:
でも、確かに気は遣っています。おじさんキャラもキチガイキャラと同じで、書き手のうまさが出ると思うので。おっさんキャラだけではなく、リアルなキャラは実際にいる人を参考にしてますね。
 
幸橋:
例えば?
 
黒井:
LSDの郁美さんが生々しいと言われますね。夫への不満とか。彼女は姉を参考にしています。このキャラ良い事を言っているなという場合も実際にいる人の言動を参考にしていることがあります。インテグラルのサージェントがみんなをまとめる時に言う言葉は好きな上司が言っていたことを参考にしました。LSDのロジャーの発言も実際に知り合いの遊び人を参考にしています。
 
幸橋:
ロジャーみたいな人が実際にいることが驚きです。
 
黒井:
どの子もキャラが濃くて、癖があるので、普通にすると埋もれてしまうんですよね。埋もれないようにしようと気を遣います。
 
幸橋:
そんなキャラが多い割に、全体的に変にわちゃわちゃとしてうるさく感じるということがないですよね。
 
黒井:
テンションを高めにすると疲れるので、聴いていて疲れないキャラの立たせ方をしています。
 

『戦闘シーンをリアルにするために』

 
幸橋:
作品内の表現で他に気をつけていることはありますか?
 
黒井:
アクションシーンが多いのですが、武器の使い方や戦い方は勉強しましたね。モデルガンを買ってみたり、勉強のために空手をならったこともありました。殴ったらどんな風に痛いのかなとか。
 
幸橋:
作品書くために習ったんですか?すごい。確かにマツシマが空手で戦うところとか細かかったですよね。
 
黒井:
アクションシーンは知識量がばれるんですよね。それでいて、うるさい人がいるので、文句をつけられるのが嫌だなと思って。
 
幸橋:
モデルガンは、門倉でしょうか。門倉の祈りを呟きながら撃つのすごくかっこいいですよね。あのシーン大好きです。
 
黒井:
あれは1作目に出て来る弟のやり方と同じなんですよ。
 
幸橋:
ノラですよね。彼の戦闘シーンはボイスドラマにありませんが、彼の撃つところもめちゃくちゃ聴きたいんです! 小説をまだ読めていないのですが、キャラ説明読んでいて絶対好きだと思うんですよね……今、インテグラルの前作にあたる小説は新サイトに移行中なんでしたっけ。
 
黒井:
ノラ好きだと思いますよ。話を聞いていると浮世離れした子が好きそうだから。はい、小説は移行中なので、移行が終わったらぜひ読んでみて下さい。
 

『世界は繋がっている』

 
幸橋:
要素としてはナイトメアはゾンビものでBLものらしいですが……普通のBLと違いますよね。
 
黒井:
BL目的で聴くと物足りないかもしれませんね。
 
幸橋:
甘くないですしね。むしろ、相手を屈服させるために行為に至る感じがありますよね。手段?
 
黒井:
甘くなくて痛々しいですよね。あんまりそれを意識していなんですけどね。
 
幸橋:
え……(笑)
 
黒井:
元々は甘い感じのいわゆるBLを書いていたんですよ!
 
幸橋:
確かに最初にそうおっしゃってましたね。
 
黒井:
人気が出なかったんですよね。実際の人気の度合いは自分ではわかりませんが、今のように感想やイラストをもらうことは無かったですね。でも、ナイトメアシリーズとはまた別物ですが、台本も出来ているので、R18のBLも音声化してみたいですね。
 
幸橋:
他に音声化したい別の連載ものってあるんですか?
 
黒井:
こちらは別物ではなく、LSDにつながる連載で、シャンテクレールの葬送花という作品があって、これのダイジェスト版のページへLSDのキャラクター紹介ページからとぶことができます。
 
幸橋:
これはLSDの番外編? ですか?
 
黒井:
私は18世紀のイギリス王室が好きで、それをモチーフに書いた作品なのですが、人気が出なくて。それが悔しくてLSDにその作品の要素をぶちこんで無理やりつなげてしまえ! と。黒井作品はどれもつながっていると思っていた方が良いですね。
 
幸橋:
なるほど。それはそれで世界が広がって楽しいですね。
 

『好きなサークル・作品・演者さん』

 
幸橋:
恒例の好きな〇〇なんですが、そういえば、黒井さんは他のボイスドラマは聴くんですか?
 
黒井:
実はあまり知らないんですよね。付き合いのある方の作品を聴くことはあるのですが、小説を書いている時からあまり他の人の創作を見ないんです。
 
幸橋:
そうなんですね。ちなみに最近聴いたのは何だったんですか?
 
黒井:
「drowning-in-flower」*4と「Ancient Sevens」*5ですね。
 
幸橋:
映画お好きだったらAncient Sevensは近いですよね。ハードボイルド系なので、そちらが好みでなければ違うかもしれませんが。
 
黒井:
洋画好きなので、好きでしたよ。
何か良い作品ありますか?
 
幸橋:
無理やり邦画っぽいと言えなくもないというところで、サークルさんで言えば、ねこ入玉手箱さん*6・彩奏さん*7とか。主宰の方が同じなんですよね。あとは、自分がいた団体で恐縮ですが、カルミア*8は舞台が海外なので、洋画っぽいと言えなくはないです。長編を聴ける方なら聴いて頂きたいですね。
 
黒井:
長い作品は聴けるので、大丈夫です。
 
幸橋:
黒井さんの作品自体が長編でしたね(笑)
 
黒井:
私としては、2時間とか映画1本分の長さという感覚なんですよね。ポップコーンやコーラを片手にB級映画を友達と観る感覚で観て欲しいので、そこまで長いという感じではないのですが(苦笑)
 
幸橋:
そう言われれば、確かにそうですね。
作品をあまり聴かないということでしたが、それでは演者さんもあんまりご存知ないのでしょうか。
 
黒井:
他の作品はわかりませんが、自作品の出演者はだいたい皆さん好きです!
 
幸橋:
企画者あるあるな答えですね(笑)でも、私も企画者経験があるので、気持ちはわかります。ぜひ出演者の皆さんに愛をそそいでください。
 

『今後の活動に関して』

 
幸橋:
では、最後に今後の予定を教えて下さい。
 
黒井:
ボイスドラマはLSDとシティ インテグラを完結させたいなと思っています。シティ インテグラルはまずは小説の8話までをシーズン1として、そこまで完成させたいです。
 
幸橋:
並行して長編2作品を進めるって大変ですね。
 
黒井:
並行でやりますが、LSDを集中して進めることになると思います。秋にもまたLSDの番外編を出そうと思っているので、追いつくように本編を進めなくてはいけません。
 
幸橋:
秋も新作出るんですか! それは楽しみです(笑)
それは春に出た番外編と関連した作品ですか?
 
黒井:
いえ、オムニバス形式で別の主人公を立てています。話としては、殺人鬼ものというか、B級スプラッタホラーみたいな話です。本編にまだ出てこないんですが、顔見せの意味でも、フライング気味で出てくるキャラがいるのでお楽しみに。
あとは、電子書籍ですね。
新しいことは常にやりたいと思っていて、フリーゲームもしたいと思いつつ、知識が無いので、こちらは数年単位でゆっくりお待ちください。
 
幸橋:
私はボイドラを先に聴きたい派なので、小説を読むためにもボイドラ完結を待ってます(我侭)
 
黒井:
見る順番は原作からでもボイドラからでも良いですし、解釈も色々ある作品だと思うので、それぞれの楽しみ方で楽しんで貰えると嬉しいです。
 
幸橋:
まとめてくださりありがとうございます(笑)
 
以上、黒井さんのインタビューでした! 
 
 
『後記』
どのジャンルでも原作を別媒体で表現するのは難しいものですが、音声化も例に漏れず。その中で、ナイトメアシリーズは1つの成功例だと思います。
そんな訳で、ボイドラと人を始めた当初からいつかはお話を聞きたいと思っていた原作者兼企画者の黒井さんのインタビューが今回やっと実現しました。遠くからひっそり伺っていたかいがありましたよ(やめて)
作品が作品なので、どんなファンキーな方かと思いきや(おい)依頼にもすごく丁寧に対応して頂きました。でも、インタビュー内でも質問していたようにただただ雑にキャラを狂人にしただけではない物語や、長編ボイスドラマ企画が出来る企画力からも、そのあたりは察せられそうなものですね。念頭にあるのが映画なので、それがボイスドラマの固定概念にとらわれていない作風に繋がっているのかなと感じるのと同時にこれが正しいというアプローチの仕方ってないんだなと感じる次第です。

***
インタビュアー/幸橋

幸橋 (@kusanotsuki) | Twitter

ボイスドラマリスナー。
2009年よりボイスドラマ作品を聴き始め、2013年より開始した感想メモブログ「視聴note」にてボイドラ関連の記事が900件を突破(2018年1月時点)

「ボイドラと人」に関しての問い合わせ

 
 
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以下のアンケートフォームから質問に回答してください。運営者から連絡先へご連絡致します。聴いている作品数、活動の有無など条件はありません!(※あまりにも露骨な自作品の宣伝の場合、修正をお願いする可能性があります。ご了承ください)
回答は順次、「ボイドラと人」ページにてご紹介させて頂きます!
よろしくお願いします!
 
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※①作品の基礎情報(注釈)は幸橋が追記致しますので、おすすめポイントだけお書きください。
※②最後の回答以外、出来るだけ、ネタバレは避けて下さい。
※③多少の加筆修正をお願いする場合があります。
※④どうしても書けないものは回答をとばしても構いませんが、基本全問回答してください
※⑤各質問、回答は基本は1つ(最大3つまで)でお願いします。
※推奨※先にワードやメモ帳などで書いて、コピペすることを推奨致します。
***

*1:同名の小説を原作を音声化した作品。普通の男子高校生だった湊ユキはゾンビアポカリプスで友人のほとんどと母親を失い、生き残った同級生と共に助けてくれた謎の男性サージェントとの同行を決める http://ukamukowai9.wixsite.com/the-nightmare-city

*2:ナイトメアシリーズ番外編。修学旅行中の高校生七瀬は友人たちとクルージングの途中でゾンビの襲撃を受け、生き残った友人たちとある島に不時着するが…… http://ukamukowai9.wixsite.com/nightmare-apocalypse

*3:アポカリプスの前日譚 https://ukamukowai9.wixsite.com/luckyskyinthediamond

*4:BAR「木漏れ日」働く青年柴貫 昇近くの花屋で働く神崎 俊一郎に偶然出くわし彼に一目惚れしてしまう http://hiyokobunbun.wixsite.com/drowning-in-flower

*5:ばなわに制作のドラマCD作品。『モンスターハンター』シリーズのモンスターを擬人化したキャラクターたちが主人公の物語。 http://banawani.web.fc2.com/sevens/index2.html

*6:ギャグから繊細な少年少女の恋愛まで多種多様な作品を作ってきたサークル。現在は、創作処「彩奏」に名前を変えて活動中

*7:ねこ入玉手箱の主宰葵依幸さんによるねこ玉の活動を引き継いだサークル http://studiocolortaste.wixsite.com/color-taste

*8:脚本家渡辺流久里さん主宰の団体。現在休止中。 https://www.youtube.com/user/kalmiacaravan/featured