ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」第22回は、創作処「彩奏」さん
*1(旧劇団ねこ
入玉手箱)やおぼろまどかさん
*2、ムラサキノオトさん
*3などの実力派サークルさんに出演多数、心の臓ぶっ刺して来る幼女声なのに、実は一児のママである
かがみがわとうこさんがゲストです。
これまでの活動を振り返りつつお子さんが生まれて活動休止前と後で変化があったのかをお聞きしました。
【本日のゲスト】
かがみがわとうこさん
演者
2007年より活動開始。穏やかで優しい少女声ながら鋭い針のような演技で数々の作品に出演。出演作品には、劇団ねこ入玉手箱のブレイクザ・プリズン*4のひなたやおぼろまどかの「鳥籠計画」シリーズの黒霧などがある。だんだん組*5の東方Projectの二次創作ドラマCDにも複数出演。
出演可能な役:少年、少女、若い女性、中年女性、老女(乳児・幼児も可)※依頼可
URL:
幸橋:
最近、結婚・出産報告を見かけることが増えたけど、お子さんがいて活動続けるってすごいなあと漠然と思っていたところへ、ママさんボイスコで、かつ、続けて出演作に衝撃を受けたので、これは呼ぶっきゃない! ということでお声がけしました。本日のゲストは、かがみがわとうこさんです! よろしくお願いします!
かがみがわとうこさん(以下、かがみがわ):
よろしくお願いします。
幸橋:
この地声にして可愛い声を聞かせられないのが口惜しい……
<目次>
『「これだけやっているんだから大丈夫」そんなお守りがなくなってしまった』
幸橋:
いきなり率直に聞いてしまうのですが、お子さんが生まれて活動を続けるか否かで迷ったりしませんでしたか?
かがみがわ:
あまり言わないようにして来たのですが、子どもが出来た後で、クオリティが下がるのではないかということは気にしていました。
私は自分に自信が無いので、自信を持つために、それまではワークショップに行ったり、ボイトレやスポーツジムに行ったり、出来る範囲でお芝居のために出来る事はやってきました。でも、子育てで時間的にも体力的にもそこまで手が回らないことが多くて、これだけやっているんだから大丈夫というお守りみたいなものがなくなってしまったんです。やめた方が良いかなとずっと思っていて、でも、やめたくないし、他に趣味や特技あるわけでもないので、やめたら何にも残らないとも思っていました。
幸橋:
続けることにしたきっかけみたいなものはあるんですか?
かがみがわ:
手元にある案件が終わったらやめようと思っていたのですが、1つだけなかなか手をつけられない案件がありました。
幸橋:
それは?
かがみがわ:
子どもが生まれる前に子どもができたら今の活動を続けられないかもしれないと知人に話をしたことがあるんです。そしたら、その人から薄めの自主制作の小説本を2冊渡されました。1か月に1章読めば1年で終わる。それが2冊だから、全部読めば2年。こういうのをゆっくりやればいいよと言ってくれたんです。
幸橋:
素敵ですね。
かがみがわ:
でも、私は、1章ずつ読んで、次に1週間とか2週間とか経ったら読むスピードや声が変わるので、途中で切りたくなくて、ある程度まとめて録ろうと思ったんです。そうすると、やっぱりまとめて録る元気があんまりなくて、期限もないので後回しになってしまって(苦笑)その間に数ワードのお仕事から再開して、それはすぐ録って出してしまって、出してしまったからもうやめようかなと思うんですが、その長い朗読が残っているので、やめますと言えなくて。そうこうしている内に今まで通り、スタジオ収録に行って、おうちでも録るようになって、子ども出来る前よりしょっちゅう録ってない? と今では言われてます(笑)
幸橋:
どちらにしろ続ける理由になってるんですね(笑)その朗読は結局どうなったんですか?
かがみがわ:
予定よりも遅れてしまいましたが、録り終えて既に渡しています。
幸橋:
それは良かった。
『ママボイスコで大変なこと』
幸橋:
お子さんが生まれて一番大変なことって何でしたか?
かがみがわ:
スケジューリングですね。うちはどちらも実家が遠くて、子どもを見てくれる人がいないので、自分か夫が休みの日にいなくてはいけないのですが、夫もでかけることが多くて。それが収録やお稽古の日と被ると困ってしまうのですが、お互いの予定が覚えられなくて(苦笑)今はタイムツリーというスケジュールを共有できるアプリを使って乗り切っています。
幸橋:
外出するスタジオ収録とお子さんがいる中での
宅録、どちらが大変なのでしょう? あ、回数自体はどちらが多いんですか?
かがみがわ:
スタ録でも
宅録でも、まずは子どものお世話をして、家のことを片付けてから、出かけたり、家で収録を始めるのですが、
その時点でもう一仕事をしたぞという感じになってしまうんですよね(苦笑)なので、どちらも大変さは変わらないかもしれません。
けど、うちを出て電車乗ったり、うちでマイクを立てると、さあやるぞ! と気合が入るので、そこまで来たら大丈夫です(笑)
幸橋:
収録が活力になっているんですね。
かがみがわ:
はい。こういう話をするとお仕事を振りづらくなるのではと思って言いづらいのですが、収録はどれも指折り数えて待っています。今週末はスタジオ収録があるから頑張ろう、今晩、録りたいものがあるから頑張ろうと、すごく楽しみにしています(笑)
幸橋:
それを聞いてホッとしました(笑)
かがみがわ:
スケジュールも普段仕事や学校、バイトといったお芝居以外にもやっている方と変わらないと思います。お仕事がもっと大変そうな方がいらっしゃいますし。
幸橋:
いやいや、子育てって時間決まってないですし(苦笑)周りにも小さいお子さんいる方いますが、尊敬しますよ。
でも、最近この界隈でもやっぱりお子さんいらっしゃる方、増えてきましたよね。その内に、ボイスコママ会とか開催されたりして(笑)こうして乗り切っているとか共有したり。
かがみがわ:
あー、他の人がどうやっているのか聞いてみたいですね(笑)
ボイスコさんではないのですが、子ども側から見たら趣味のあるお母さんはどう見えるのかというのを、お母様が趣味の分野で精力的に活動しているという方に話を聞いたことがあるんですよ。
幸橋:
どう仰っていましたか?
かがみがわ:
そんな母親を見て誇らしいと。悩んでいたので、活動の場所が違っても好きなことを続けているお母さんをかっこいいと思うという話を伺えたのは良かったです。私もかっこいいお母さんではありたいですね。
『社会人劇団に入るために養成所へ』
幸橋:
お芝居や演技に興味を持ったのはいつ頃だったんですか?
かがみがわ:
物心ついた時から演技をしたいと思っていました。学芸会も大好きで。でも、流行りの歌も知らないし、自分ではセリフを作れない。だから、セリフをください、セリフがあったら、高い台に立てるのにと思っていました。
幸橋:
高い台?
かがみがわ:
教室の隅に高い大きな積み木のようなものがあって、友達がそこに立って歌を披露していたんです。それが羨ましくて。
地元は田舎で、
児童劇団はなく、子どもミュージカル劇団はあったんですが、稽古場が遠いからダメだと言われて、
お芝居を始めたのは、高校の演劇部からです。
幸橋:
念願叶ってですね。それでは、声の活動を始めたのはいつ頃だったんですか。
かがみがわ:
大学時代に養成所に入っていたのですが、その頃ですね。最初は大学サークルに入ろうと思ったのですが、新入生歓迎公演を見て、なんとなく合わなくて入らなかったんです。その時にたまたま養成所のパンフレットが手に入って、声フェチだったのとレッスンが週1で大学に通いながら学べると思ってこちらを選びました。
幸橋:
声優を目指されていたんですか?
かがみがわ:
大学を卒業したら地元に帰る約束だったので、
地元に帰ったら社会人劇団に入りたいと思っていたんです。でも、高校時代、下手だったのでこのままだと入れてもらえないと思って、勉強しなくちゃと思ったんですよね。その養成所で、めみゅっとさん
*6の「サイバー犯罪防止第6課シリーズ」
*7にも出演しているの
海老沢 潮*8にサークルに誘われました。サークルに同じくサボ6課に出ている霧原大輔さん
*9やねこ玉の「春にとける」
*10や「レイニーライン」
*11に出演している石塚麻路ちゃん
*12もいましたね。
幸橋:
おお、聞き覚えのある方がたくさん……
かがみがわ:
そこでボイスドラマに出会いました。それが2007年です。初めは作品を作るよりは、身体作りや発声練習といったワークショップみたいな感じでした。
そこから作品を作ろうということになって、コミティアやコミケに出していましたね。コミティアではボイスドラマ部を始めて、そこでムラサキノオトさんやツキノベさん*13と知り合いました。
幸橋:
かがみがわ:
うちが初代で、椎菜さんは次に始めたので、別物です。
幸橋:
そうなんですねー
かがみがわ:
サークルを辞める前から個人でも募集を受けるようなりました。今、サイトに書いてあるお仕事履歴はその頃からのものです。ツキノベさんとかムラサキノオトさんとか。
幸橋:
ねこ玉さんとか?
かがみがわ:
実は、ねこ玉さんの主宰の、その頃はお名前違いましたが、葵依さん
*16は最初恐い人だな思っていたんです。
幸橋:
恐い(笑)気持ちはわからないではないですが。結構強い主張もされる方です。テキストだと恐く見えるかも。
かがみがわ:
でも、
作品はおもしろそうだなと思っていたんです。ある時、
宅録でもOKの朗読企画の募集をしていて、それに応募したら採用して頂けました。「雨宿り・待ち合わせ」という作品でした。その後、
幼女できる人というツイートをされていて、何とはなしに、はーいと手を挙げたらいつの間にかブレプリにいました(笑)
幸橋:
依頼じゃなかったんですね。意外です。ぴったりだったので、幼女3人は全員依頼だと思っていました(笑)