ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」

「ボイスドラマ」をテーマに、インタビュー記事をメインコンテンツとして配信しています。今後、ボイスドラマに関わるイベントや新作の告知、作品紹介コラムも増やしていく予定。

第22回『かがみがわとうこさん』 ~後半~【ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」】

ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」の第22回「かがみがわとうこ」さんインタビューの後半です!

 

前半がまだの方はこちらから先にどうぞ。

http://voidratohito.hatenablog.jp/entry/22

後半の内容はこちら!

<目次>

 

『家族に認めて貰った「プラチナ・チューン」』

 
幸橋:
数多くの出演作品の中で、特にどの作品が思い出に残っていますか。
 
かがみがわ:
ムラサキノオトさんの「プラチナ・チューン」*1で私、初めての主演だったんです。サークルにいた時は、サークル内オーディションでも受からなくて、ちょい役や名前のない役ばかりでした。
 
幸橋:
やってみてどうでしたか?
 
かがみがわ:
ずっと立ちっぱなしで、台本を持っている手が筋肉痛で痛くなりました(笑)それ以外は大先輩ばかりですごく緊張していたので、頭が真っ白になっていました。でも、あれだけのことが自分にも出来るんだという自信になりましたね。がんくまさんと脚本を書いてくださったくろ。さん*2にありがとうございますと言いたいです。
 
幸橋:
演じられたヒロインの牧原は本当に年齢通りの素朴で平凡な女の子で、私は、幼い役のイメージが強かったので、逆に新鮮でした。かがみがわさん自身はどういう印象だったんですか?
 
かがみがわ:
夢は叶うかという内容だったのですが、牧原がやっていることや言っていることは、その時の自分に通じるところがあって、すごくわかるなと思いました。台本をもらったのが収録当日ということもあって、特別キャラを作ってないんです。彼女がどう思っているんだろうというところだけ考えて演じました。
 
幸橋:
なるほど。思い出に残っているのは初の主演だからですか?
 
かがみがわ:
それもあるのですが、実はこの作品は初めて親に送った作品なんです。
 
幸橋:
おお、反応どうでした? それまで親御さんは活動はご存知だったんですか?
 
かがみがわ:
話したことはありませんでした。それまで出演した作品がネット公開作品やCDになっても親の世代には聴いてもらえないんじゃないかという内容だったのですが、プラチナ・チューンは聴いてもらって大丈夫だろうと手紙も付けずに実家に送りました
 
幸橋:
現代のラジオ局の話ですもんね……え、何の説明もなく突然送ったんですか(苦笑)
 
かがみがわ:
親は私の活動名を知らないので、電話がかかってきて、「これ、何?」と言われ。
 
幸橋:
そうなりますよね。
 
かがみがわ:
それで「出てるから送った」と伝えたら、「誰?」と言われたので、「主役なんだけど……」と答えたら「まっきー!?」と。
 
幸橋:
まっきー呼びってだいぶ聴きこんでますね(笑)
 
かがみがわ:
声が違うから最後までわからなかったみたいです。地元でいくつかCMに出ていますが、未だにわからないらしいですね。
2回くらい聴いて、それでも、何で送られてきたのかわからなくて電話してきたと言っていました。高校生の時に社会人劇団に入れてもらうと言っていたので、社会人劇団の音声版だよと説明したら、「頑張りなよ」と言ってくれました。ちゃんと実物があったのも何をしているのかわかりやすくて、それで安心したみたいです。
 
幸橋:
CDという形になっていることはそういう効果もあるんですね。
 
かがみがわ:
実家はインターネットが使えないので、今はCDの他にCMに出てテレビで聴いて貰えるのは良かったなと思います。喜んでもらえているみたいです。
 

『9種類のキャラを演じ分けた赤蛮奇と引き出しが増えたイザベラ』

 
かがみがわ:
去年、だんだん組さんの「草の根ファンタジー 勇気を出して人魚姫」*3で演じた赤蛮奇(せきばんき)ちゃんは1人で9人の人格を演じなくてはいけなくて、難しかったという意味で記憶に残っています。いつもは読み合わせをしてから役が決定するのですが、赤蛮奇ちゃん絶対大変だろうからと練習用台本を先に頂いていました。
 
幸橋:
9人ですか、それはまた……演じ分けが大変そうですね。
 
かがみがわ:
セリフをそれぞれわかりやすい口調にして下さっていたのですが、流石に声を変えないとお客さんにはわかりづらいだろうなと思って、自分の中でそれぞれの人格では、こうやるというのを決めて、ひたすらその通りにできるように練習しました。育休中だったのですが、子どもを背中に背負いながら台本をぶつぶつ読んで、二宮金治郎みたいになっていました(笑)
 
幸橋:
すごい、まさにですね。どれくらい練習したんですか。
 
かがみがわ:
収録の1カ月前から1日1回は少しでもやると決めて取り組んでいましたね。自宅で実際録ったものを聴いてもらったり。大変でしたが、自信にもなりました。
で、これ以上難しい役はないと思っていたんですが、そんなことはなかったですね。
 
幸橋:
え、そうなんですか?
 
かがみがわ:
同じだんだん組さんの次の作品で紅美鈴と霧の殺人鬼」*4という作品で、イザベラという感情の起伏が少ない女の子を演じたのですが、狭い範囲の中でやりようが結構あって。台本を読んで、こうもできるし、ああもできるし、感情が無いはずなのになんでこんなにやりようがあるのかと、どうしたら良いのかわかりませんでした。
蛮奇ちゃんは9個の頭がそれぞれ別人だとわかってもらうことを目標にたくさん練習が必要だっただけで、どうすべきかは明確でした。でも、イザベラはどうすべきか決められなかったんです。
 
幸橋:
決められない?
 
かがみがわ:
私が元々自分からこうしたいという思いがあんまりないんです。全体の流れや他のキャラとの兼ね合いを考えて、ここは盛り上げた方が良いとかここは抑えた方が良いといったことは考えますが。 
 
幸橋:
なるほど。迷ったところはそういうバランスではなく、個性とか解釈みたいな部分だったんですかね。結局、最後はどうしたんですか?
 
かがみがわ:
最終的には、これでいこうと当日決めました。すごく課題が見えたキャラでしたね。
 
幸橋:
でも、感情の起伏が少ないキャラって他にもありましたよね。
 
かがみがわ:
おぼろまどかさんの「鳥籠計画」シリーズの黒霧なんかはそうでしたが、あんまり迷いませんでしたね。迷えるようになったということは、自分の中で引き出しが増えたからなのかも? 
 
幸橋:
きっとそうですよ!
 
かがみがわ:
そうだと良いのですが。
 

『子どもがいたからできた「角付きと厳冬」のカエ』

f:id:yukibashi:20180916181907j:plain

幸橋:
私個人としては、「俺だけがいる街」*5の桐生院風香と「角付きと厳冬」*6のカエが全くキャラとしては異なるんですが、どちらも迫力がすごくて、印象に残っているんですが。風香は精神的にも物理的にも攻撃的で、かがみがわさんのイメージにはなかったので、キャスティングしたがんくまさん天才かと思いました。
 
かがみがわ:
風香みたいなキャラは実はやったことがあるんです。「きのこれ」というゲームアプリで、元気な女の子と大人しい女の子とスケバンとクール系ぼそぼそロリの4キャラやらせて頂いたんです。
 
幸橋:
まさかのスケバンが入ってる……(苦笑)これですね。
 
かがみがわ:
サンプルにそんなもの用意していなかったのですが、なぜかできると思われたんですよね。思ったより出来たので、素に近いのかもしれませんね。時にはズバッと言うところとか。風香は書いてある通りに読んですごく楽しいキャラでした。配役は、読み合わせをしてその場で決めたんですが、風香のセリフをチラッと読んだら、がんくまさんは笑ってました。
 
幸橋:
その時点で決定ですね(笑)
カエは逆に私も何で気になるのかわからなくて。役柄的にはこれまでのかがみがわさんのイメージそのまんまだったんですが。
 
かがみがわ:
カエは、子どもを産む前なら出来なかったかもしれません。
 
幸橋:
それはなぜ?
 
かがみがわ:
見せ場というか、自分の意見を主張するシーンがあるのですが、そこを最初はもっと控えめにしていたんですが、ツキノベさんから、子どもがわーっと怒る時みたいに言って下さいと言われて。私は、感情を出す芝居が得意では無いのですが、言われた時に、子どもを見てきた経験から、ああ、あれかと思いました。それで、やってみたら思ったよりできたんですね。子どもが生まれる前だったらできなかったと思います。
 
幸橋:
カエに関しては他には裏話はないんですか?
 
かがみがわ:
カエはお姫様になりたい女の子なのですが、私も小さい時にお姫様になりたかったんですよね。それを以前ツキノベさんに話した事があって、覚えていて下さったのか、その時には既に話ができていたのかわかりませんが、台本を読んだ時にそれを思い出してふふっとなりました。カエちゃんわかるぞ、その気持ちわかるぞと思ってしまいました(笑)
 
幸橋:
お姫様というワードがすごく効果的に使われていましたよね。
では、お子さんが見本だったという点では、他に生かされた役はありましたか?
 
かがみがわ:
私は明るくて元気な子が苦手で、明るいけど元気がない子になってしまうんですが、
 
幸橋:
明るいけど元気がないって逆に難しいような(笑)
 
かがみがわ:
影が出ると言いますか。「巫女学校物語」*7というゲームの山吹 楓ちゃんと言う女の子の役を演じていて、この子は勉強が苦手でスポーツが大好きで元気で明るい女の子なんです。採用された時は何かの間違いではと……と思いました。ただ、ゲームなので制作に時間がかかって、前回と今回で収録に時間があいたのですが、今回、前回に比べてやりやすいと感じました。それもうちにいる元気な子の影響があるのかなと思います。今度は明るく元気に聴こえていると良いですね。
 

『目指すはアンフィニさんのようにわかってもらうこと』

 
幸橋:
皆さんに好きなサークルさんや演者さんを聞いているのですが、かがみがわさんが好きなサークルさんは?
 
かがみがわ:
ハーモスフィアさん*8ですね。
 
幸橋:
ハーモスフィアさんが強い。
 
かがみがわ:
最初に作品を聴いた時の影響はすごいですよ。音の作品ってこんなにすごいんだなと思いました。憧れのサークルさんだったので、音響編集担当の大原さんの個人サークルですが、2回出演させてもらって出たいなという夢が叶いました。
 
幸橋:
それでは、演者さんは?
 
かがみがわ:
アンフィニさん*9が好きです。最初に聴いたのは10年近く前ですが、今だに覚えていて、別の作品を聴いても、声で、ああ、アンフィニさんだなと思います。私もいつか誰かのそういう存在になりたいです。
 
幸橋:
既に、あ、かがみがわさんだなと思う時ありますよ(笑)
M3がある10月も迫って来ましたが、ご出演の予定は?
 
かがみがわ:
M3とそれ以外でもドラマCDやゲームに出る予定があるので、楽しみにしていてください。
 
 
以上、かがみがわとうこさんのインタビューでした。ありがとうございました!
 
『後記』
かがみがわさんをお呼びした理由は最初に書いた通り、以前からお子さんがいらっしゃる活動者さんにお話を聞きたいなと思っていました。何人かあたりは付けつつ、でも、今、お呼びするタイミングでも無いような……と思っているところへの「俺だけがいる街」と「角付きと厳冬」でした。お子さんがいらっしゃるからご迷惑かな……と思いつつ打診したのですが、快諾頂けて嬉しい限り。インタビュー中はあの可愛らしい声に対して丁寧すぎるくらい丁寧な話し方にかがみがわさんの繊細さが感じられました。また、まさかの私のイラストを所望された初の回ともなりました。言われなければ絶対載せなかったと思います。ご要望頂きありがとうございました。

***
インタビュアー/幸橋
幸橋 (@kusanotsuki) | Twitter

ボイスドラマリスナー。
2009年よりボイスドラマ作品を聴き始め、2013年より開始した感想メモブログ「視聴note」にてボイドラ関連の記事が1000件を突破(2018年9月時点)
「ボイドラと人」に関しての問い合わせ

 
 
【皆さんからの紹介をお待ちしています!!】
「番外編リスナーおすすめボイスドラマ作品紹介」では、皆さんのおすすめボイスドラマ作品紹介を募集しています。
以下のアンケートフォームから質問に回答してください。運営者から連絡先へご連絡致します。聴いている作品数、活動の有無など条件はありません!(※あまりにも露骨な自作品の宣伝の場合、修正をお願いする可能性があります。ご了承ください)
回答は順次、「ボイドラと人」ページにてご紹介させて頂きます!
よろしくお願いします!
 
<回答フォーム>

 
***

*1:自分の夢を叶えたい、とFMラジオ局で働いている主人公牧原。しかし日々の忙しさにその夢もだんだん遠のいていく。そんなある日一通の葉書が届く https://purplesounds.booth.pm/items/60226

*2:ムラサキノオト作品に演者、脚本家として参加

*3:だんだん組東方ドラマCD第19弾のオムニバス作品 http://teamdang2.com/toho19.html

*4:だんだん組東方ドラマCD第20弾。第1作目「紅美鈴と魔女の卵」の続編 http://teamdang2.com/toho20.html

*5:ひょんなことから、男がほとんど死に絶えたパラレルワールドへ飛ばされた渋沢 仁。待っていたのは夢のハーレムではなく、社会悪として追われる日々だった https://purplesounds.booth.pm/items/728710

*6:おぼろまどか制作。春が訪れない常冬の村では3組の人間と角付きが春を待って一緒に暮らしていた http://2style.in/oboromadoka/2018/Gento/index.html

*7:xinoro制作の巫女みこゲームシリーズ https://xinoro.net/

*8:聴かせる脚本と確かな音響編集で今も根強いファンが多数いるボイスドラマ制作サークルさん。活動休止中ですが、ほとんどの作品がポッドキャストで配信中。http://harmosphere.net/

*9:独特の空気感と声音を持つ男性演者さん。声の中毒者が多い http://infini-voiceact.wixsite.com/infinity