ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」第23回は、二枚目青年役って言ったら?と言われたら、名前挙げる演者さんの中には絶対入れる! 最近応募や依頼受付など精力的な活動を再開された栂井栄人(とがいさかと)さんがゲストです。
長い活動歴の中で特に印象的な作品・役の思い出や、武器とも言えるその魅力的な声をどのように生かしているのか、また、活動再開された経緯などお伺いしました!
【本日のゲスト】
栂井栄人さん
演者
2005年より頃より活動開始。イケメンボイス、所謂イケボとそれにとどまらない演技でボイスドラマやシチュエーションボイスの青年役で人気に。しばらく活動を縮小していたものの2018年より活動を再開。
出演可能な役:少年、若い男性、中年男性※依頼可
幸橋:
とあることをきっかけに勢いでお声がけしてから、(個人的理由により)なんてことをしてしまったんだ……と頭抱えたよね← でも、ファンの方には褒めて欲しい!
本日のゲストは、これまで「さかと」、もしくは「栄人」名義で活動していた栂井栄人さんです! よろしくお願いします!
栂井栄人さん(以下、栄人):
よろしくお願いします!
幸橋:
お名前は名字より下の名前がわかりやすいと思うので、以降、栄人さんとお呼びしますね!
『活動を始めたきっかけ~予想はしてたけど、募集落選はなかったそうで~』
幸橋:
始めたのは2005年くらいとのことですが、これは初めてボイスドラマ作品に出演されたのがこのくらいだったんですか?
栄人:
2004年とか2005年とかですね。記憶があいまいなのですが、声活動始めたのがこれくらいかと。
1回養成所で勉強するために東京に出て来たんですが、その後、実家に戻ったタイミングで演技したいなと思って声活動を始めました。
WEBサイトを見ていたら、募集サイトが見つかって、この時代だと「せんこの部屋」とかがあったんですよね。
幸橋:
出た! 幻の「せんこの部屋」! 私は実際見たことありませんが、古参の方にはお馴染みの募集・オーディション情報が載っているサイトですね。
栄人:
それです。そこで声活動って何だろうと検索して、マイクとPCがあればできるらしいと知って、マイクを買ってすぐに始めました。
幸橋:
ちなみになんですが、最初に受かった作品は?
栄人:
実は最初の作品は覚えてなくて……10年以上も前のことなので。
でも、こう言うのもどうかと思うのですが、落ちる事はそうそうなかったので、1作目からたぶん受かったと思います。
幸橋:
そこはもう堂々と言いましょう! もはや予想出来てましたから! 当時、男性少なかったので、そういう理由もあったんじゃないでしょうか。
栄人:
男性だったらいくらでも応募が来たら採用するくらいの時代だったのかもしれません。
それでも、数年やっていると競合が出て来て段々と落ち始めるんですけどね。
『なぜ、「栂井(とがい)」さん?』
幸橋:
栄人さんは最近、活動名に名字がつきましたが、ちなみに、以前の活動名の表記は、「さかと」と「栄人」どちらが正しかったんですか?
栄人:
どっちもありました。
最初はひらがなの「さかと」から始めて、ニコニコ動画のさかとさんが出てきたので、漢字の「栄人」に変えようとしたんですが、読めねえよと漢字が浸透しなかったんですよね(苦笑)人によって好きな方を使って統一できていませんでした。
幸橋:
そして、つけた名字が「栂井」ですが、これはなぜ?
栄人:
名字も今いる人と被らないようにしたかったんです。
その上で、「さ」行か「た」行の音の響きが好きで、その辺りで名字をつけたいなと思いました。入力して予測変換で出していったら、他で使っているのを見た事がなかったのが「栂井」でした。
変換するとすぐ出て来るというのも大事だったんです。変換して出なくて面倒くさいと思われるのも駄目なので。
幸橋:
本当だ。「とがい」で検索すると一発で出て来るのがこの漢字なんですね。
「さ」行、「た」行が好きって、もしかして、「さかと」も?
栄人:
そうです。「さ」行の音の響きが好きで付けたんです。
『依頼がなかったらやめていたかも』
幸橋:
途中で縮小期間はあったものの、15年近く活動続けられた理由やコツみたいなものはありますか?
栄人:
長く続けようと思ってやってきたわけではなく、気づいたら長くやっていただけなのですが、強いて言うなら、コツは楽しむこと、だと思います。
幸橋:
ぶっちゃけ、もうやめようかなと思ったことはありますか?
栄人:
ありますよ。応募しなくなった時期はあります。でも、やめようかなと思ったら依頼が来て、依頼が来たから録って……と続けていました。
あとは、応募に落ち続けた時にやめようと思ったことはありますね。
幸橋:
栄人さんでも落ち続けることがあるんですね。
栄人:
中期というか、例えば、美藤さん*1とかに負けて全然通らない時期があったので、メンズが増えたなら……とすねていた時期があります(笑)
それでも、依頼をちょこちょこ貰っていたのでやめなかったという感じかもしれません。
幸橋:
美藤さんも人気ですからね(笑)
栄人:
応募が被って、だいたい負けます(笑)演じる年齢層が似ているんですよね。やってみると違うんですけど。
幸橋:
美藤さんに聞いたら、栄人さんに負けていたと仰るのでは?
栄人:
いやいや、あっちの方が勝率高かったと思いますよ。
他だと、いくまさん*2とか。いくまさんにはネタで真似されてました(笑) 声質が似てるんだと思うのですが、自分はいくまさんの真似ができなかったですね。
幸橋:
……すごく個人的なこと言って良いですか?
栄人:
はい?
幸橋:
私がボイスドラマ聴き始めて初めてファンになったサークルさんが「Chronus」さん
*3なんですが、今出てきたお名前の方が栄人さん含めて皆さんいらっしゃる(笑)いくまさんと、美藤さんは当時、別のお名前でしたけど。戦っていた方々が集まっていたんだなあって。
ちなみに、未だにChronusさんに所属されていた方は雲の上の人状態なので、めちゃくちゃ手が震えます←
栄人:
そんな大層なものではないですが(苦笑)
同じ役を取り合っていた人が集まっていたけど、声質が違うので、集まっても平気でしたね。
『活動復活の理由』
幸橋:
お名前も刷新して、完全に停止していた訳ではありませんが、縮小から活動再開された理由は何だったんですか?
栄人:
活動縮小理由が収録環境だったんです。
前の家はどんなに叫んでも大丈夫だったのですが、引っ越し先では隣に声が聞こえてしまうので、
宅録ができないと思って縮小しました。
幸橋:
そうだったんですね。プライベートがお忙しいからだと思っていました。でも、それならなぜ再開できることに?
栄人:
しばらく住んでみて、隣人のいない時間帯がわかってきて、もしかして収録できるんじゃないかと思ってやったらできたんですよね(笑)
あと、ヒトスタという30分500円で防音室が機材有りで借りられるスタジオがあるんですが、ここを使っています。これくらいの金額ならまとめて録れるなと思って応募や依頼を再開しました。
『印象に残っている作品~初めてのスタジオ収録~』
幸橋:
多くの作品に出演してこられましたが、その中でも印象に残っている作品は何ですか?
栄人:
初めてスタ録をしたHEAVENLY BLUEさん*4の「Innocent Eyes - イノセントアイズ」*5は印象に残っています。
キャストが豪華で死にそうになりながら録っていましたね。
幸橋:
どんな方がいらっしゃったんですか?
栄人:
幸橋:
こちらの作品が初めてのスタジオ収録というのは、スタジオ収録の募集自体が少なかったんでしょうか?
栄人:
この頃は確かにスタジオ収録の作品はあんまりなかったかもしれません。一方で、自分もあんまり人前に姿をさらしたくない人間なので、信頼できるところ以外のスタ録には応募してなかったかもしれないですね。
幸橋:
質が良かったからこちらの作品に応募を?
栄人:
質が良かったのと、この時、仲良くさせて頂いていた織山カヨさんやそらさんが出演していて、
KAZUMAさんとも仲良くさせて頂いていたので。
幸橋:
収録時の思い出はありますか?
栄人:
ド緊張して大変でしたね。上手い人が多くてやべーと思っていましたが、皆さん良い人だったので、緊張をほぐして頂いていました。
皆さん掛け合いに慣れている方だったので、アドリブを入れるところがあったんですが、うまく対応できませんでした。例えば、ちょっとふざけたような水浴びを覗くシーンがあるのですが、飯宮隼人さんがすごくて、こんなアドリブを入れるんだーと思った記憶があります。
幸橋:
そういえば、当時はどんな方が活動されたいたんでしょう? サークルさんとか。
栄人:
自分の活動初期の頃は、女性だと中恵光城さん、杉宮加奈さん、男性だと羽田共さんとかESEさんとか。女性は続けている方が多いですが、始めた頃にはいたけど、その後にすぐやめてしまった方も多いですね。
なくなったサークルさんだと
NOMARKさん*9は、何作か出演していたので、記憶に残っています。あとは、
ハーモスフィアさん*10は絵が好きで出たいなあと思った記憶はありますね。
『碧空プラネタリウムさんで特に印象に残っているのは「紅蓮の花」』
幸橋:
他に印象に残っている作品はありますか?
栄人:
幸橋:
栄人さんは碧空
プラネタリウムさんの作品に毎回のように出演していますが、特にこの作品を選んだ理由は何ですか?
栄人:
共演者が豪華だったんです。厚みがある声の方が揃っちゃってて。
幸橋:
揃っちゃってですか(笑)
栄人:
ヨッシ~さん
*13も年齢が上の役とかあるじゃないですか。女性だと円海アルトさん
*14がすごいと思っていて、威厳があって、高貴で、そういう
演技がすごい人がそろっていて、かけあっていて楽しかったですね。重厚感のある掛け合いはすごいなあと思っていました。
幸橋:
特に印象に残っているシーンはありますか?
栄人:
火事になって自分の演じる役が火にまかれるシーンで、円海アルトさんとの掛け合いが印象が強く残っていますね。
碧空さんだと他には
「Cafe 4」*15も印象に残っています。これは、ガチでスタ録で全部流しで一発取りしたんです。
幸橋:
あれ、一発録りなんですか?(汗)それも通して?
栄人:
別のスタ録の際に一緒に録ったんです。ノリが大事だから一発で流しで録って噛み過ぎたところだけもう1テイクという録り方をしました。マジ何言ってんの?って思いましたね(笑)
幸橋:
栄人さんの演じた役はコーヒーのことになると結構ハイテンションというかまくしたてるキャラでしたしね。あれを一発録りってすごいですね。
栄人:
次聴く時はそうだったんだなあと思って聴いてください。あれはガチの必死です(笑)
あとは、あまり演じないような役だと覚えていますね。
幸橋:
例えば?
栄人:
あと、作品名を忘れてしまったんですが、
掛け合い企画でまどマギのキュゥべえみたいな動物演じて、ずっと裏声でしゃべってました。
幸橋:
ルー語に
キュゥべえ(笑)意外というか、普段の役の斜め上を行ってますね。聴いてみたい。
『インタビュアー得の会話に少々脱線~Chronusさんについて雑談~』
栄人:
意外と言えば、幸橋さんが言っていた
Chronusの、元はHeterodoxyさん*17のゲーム作品ですが、そこに出ていたガルディスもあまりない役でしたね。
幸橋:
え! 「the Second Reproduction」
*18のガルディスですか? イケメンキャラなので、栄人さんの王道かと思ってました。
そう言えば、Chronusさんはゲーム作品に出演していた方がその流れでサークル作ったということで良いんですよね?
栄人:
そうですね。ゲームのキャスト・企画者で仲良くなって、ゲームからドラマCD作るならサークル名変えた方が良いよねとそのチームでサークルを作った記憶があります。
幸橋:
演者に栄人さん、凪佳二さん
*19、櫻井和摩さん
*20、いくまさん、神崎智也さん
*21、仔虎しおんさん
*22が所属していたという化け物サークルがあったことがあまり知られていなくて、私は寂しい限りですよ! ボイドラ聴き始めて1か月経たないくらいのぺーぺーリスナーだった当時の自分を褒めたい! そんな私でも察する別格感があったんでしょうね、たぶん。
栄人:
消えたのも早かったですからね。でも、出ていたキャストはまだ結構息してますね。
幸橋:
そこは嬉しい限りですね。
脱線しましたが、話を戻し、そのゲームとドラマCDのメインキャラだった魔王ガルディスがあまりない役だったとは。
栄人:
依頼を頂く役は、裏があって腹黒系が多いんです。側近・参謀のキャラ、横でメガネをかけているお兄ちゃんはよくやっていましたが、魔王という低い声で演じるああいう役がなかったなと思います。
幸橋:
メガネをかけているお兄ちゃん(笑)
栄人:
メガネをかけている声ってよく言われます(笑)
幸橋:
個人的に栄人さんは、すごくカチッと雰囲気が決まった魅惑? 色気のある青年か、無邪気な小悪魔少年のどちらかのイメージなんですよね。
栄人:
確かに間がないかも。でも、最近、少年系はないですね。自然な感じの演技もできればと思うけど、癖なんでしょうね。
幸橋:
それがダメという訳では無くて、なんだか普通に話している時との、スイッチの切り替わりが明確だなあという感じがします。
栄人:
普通にしゃべる時と演技する時とで声が違うと言われます。普段はテンション高く喋っているからなのか、セリフを読むとちょっとだけ下がります。それが作っているように聞こえるのかも。
ひげ太郎さん*23や樹透音さん*24は変わらなくて自然だなと思います。