ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」の第4回目はオーディオドラマを制作する創作処「彩奏」の主催者「葵依幸」さんです!
最近某ラジオでありがたくもプロリスナーと呼んで頂けてひゃっほい! と思っているインタビュアー幸橋です。プロのリスナーってなんだよと言ってはいけません、私も内心つっこみました。
三連休毎日更新もこちらの更新をもって最後! 有言実行の人って呼んでくださって良いんですよ!←
というのはさておき、今回のゲストはこちら!
【今回のゲスト】
葵依幸さん
企画者
2010年より活動を開始。劇団ねこ入玉手箱の主催、脚本執筆を行う。作品によっては自身で音響編集を行うことも。ポッドキャストで多くのオーディオドラマを配信している。現在は、劇団ねこ入玉手箱は活動休止。創作処「彩奏」にて活動中。
<目次>
幸橋:
本日は
前劇団ねこ入玉手箱、現在は創作処「彩奏」(カラーテイスト)の主催、葵依幸さんです。
こうしてちゃんとお話するのもしかしたら初めて? じゃないかなと思うのですが、よろしくお願いします!
葵依幸さん(以下、葵依):
よろしくお願いします。
『活動のきっかけ』
幸橋:
恒例の出だしと化してきました活動を始めたきっかけ。でも、実は葵依さんのご経歴はさっぱりなんですよね。なので、まず基本的なところから、どうしてボイスドラマ作品を作り始めたんですか?
葵依:
劇団を立ち上げたんですが、舞台をするにしても場所の手配や稽古があり、コンスタントに出来ないと思ったんです。だから、じゃあ、ボイスドラマならもう少し高頻度で作品を出せるんじゃないかと、
幸橋:
劇団ねこ
入玉手箱さん
*1って、本当に劇団だったんですか?
葵依:
そうですよ。何だと思ってたんですか……
幸橋:
え、名前だけ、とか? 劇団ってつけるとかっこいいとか……
葵依:
……
幸橋:
じょ、冗談ですよ! 嫌だなー でも、ということは葵依さんは演劇経験があったんですね! 脚本を書くイメージしかなかったです。
葵依:
声優事務所に入っていたんですよ。大阪で専門学校で2年勉強して、東京に出て来て事務所に所属していたんです。
今はもう裏方だけですね。物語は昔から小説を書いていました。
幸橋:
あれ? でも、葵依さんは別名義で大道芸されていますよね? 声優をしていて、大道芸も? (混乱)
葵依:
大道芸は中学生の時から始めたんですよ。演技は高校生の時に興味を持ち始めました。
幸橋:
並行してやっていたということですね。大道芸に小説に演技、多才ですね。うらやましい。
葵依:
いやいや、そんなことないですよ。長くやっていて出来るのこれだけですから。
幸橋:
それにしても葵依さんの演技って聴いたことないですが、作品には出られないんですか?
葵依:
自分の作品には出ないですね。他人の脚本に出演するにしても、やっていると脚本に手を加えたくなるんですよ(笑)面白くできるわけないのに。演者としての欠陥ですね。
幸橋:
それはある意味恐いですね(笑) 葵依さんがこうすれば面白いのに……とか考えるんですよね。わー、私だったらいやですね。そんなのリアルに葵依さん書いた方が面白くなるやつじゃないですか。
葵依:
持ち上げすぎですよ。
『音の世界にいる理由』
幸橋:
でも、声優業をされていたと聞いて納得しました。それだけ多才なのに、なんで、こうニッチというか、ファン層が少ないボイスドラマに来たのかなと思っていたんです。むしろ、どうやって知ったのかと思っていたくらいです。
葵依:
以前からラジオを聞くのが、テレビを見るよりも好きだったんです。
幸橋:
葵依:
あとは、
中学生の時にはpodcast聴いていたので、そこで即興のボイスドラマをやってみたりしてはいました。ラジオドラマではなくてボイスドラマを意識するようになったのは芝居をするようになってからですね。
幸橋:
声優業をされて知ったというよりもボイスドラマは昔から慣れ親しんでいたんですね。
葵依:
そうですね。
『ねこ入玉手箱の作品について~ボーイミーツガール、家族……~』
幸橋:
ねこ玉さんは幅広いジャンルの作品を作っていて、どれもレベルが高いと個人的には思うのですが、特にこれは得意! というジャンルはありますか?
葵依:
得意とは違いますが、基本何を書いていても楽しいです。強いていうなら、ヒロイン最強系が得意かもしれませんね。
幸橋:
ヒロイン最強(苦笑) 確かにヒロイン強そうだなと思う作品がありますが、例えば?
葵依:
どんでん返しが好きなんです。小説家の
乙一さんの作品が好きなんですが、あのどんでん返しを繰り返す作風が好きでして、サクスイ
*7やサイレントワールド
*8は特にその傾向がありますね。ラーメン
*9とかきゅーちんのような内容がないというか
頭のねじはずれた作品も好きですが。
幸橋:
逆にこういうのは向いてないというのはありますか?
葵依:
小難しい作品は書けないですね。特に組織を描くが難しいです。組織に属した経験が無いので、実感が湧かないというか。
幸橋:
葵依さんの作品は論理的に組み立てているイメージですが、やっぱり実感って大切ですか。
葵依:
実感に則している方がモチベーションが上がりますね。話を考えてドキドキします。
こういう話を作って、こういう展開でと考えた時に書きたい! と思ったらそれは良い作品だと思います。そういう作品
はこねくりまわした挙句没になることも多いのですが(苦笑)
幸橋:
ねこ玉さんはボーイミーツガールというか少年少女が出会って云々が多いイメージなんですよね。
葵依:
ボーイミーツガールは最初からテーマでした。主人公とヒロインが出会って云々という話がほとんどではないでしょうか。
幸橋:
シロネコテイル
*10はその中でもちょっと違ったなという印象です。
葵依:
シロネコテイルも同じですよ。ガールミーツガールですが、出会って云々という点は同じです。
幸橋:
それは恐らく先生と生徒の関係ですよね。そこをぶった切ってなんですが、私は実はあの姉妹の話が好きなんです。
葵依:
「家族」を描くのは好きですよ。それに気づいたのは妄想彼女
*11の時でした。あれもボーイミーツガールだったのですが、主人公と妹の関係、主人公と父親の関係、妄想彼女2では亡くなったお母さんの話があるように、家族のお話でもあります。
幸橋:
確かに。タイトルに「彼女」と付くので、恋愛部分のイメージが先んじてしまいますが。
葵依:
春にとけるも最初は葉流のおばあちゃんが出て来るシーンがあったんですよ。尺の関係上、いれませんでしたが。
カラーテイスト
*12第1作のレイニーラインも母親と店長がいて、両親たちにもストーリーがあります。
幸橋:
話はそれますが、レイニーライン
*13もそうですけど、思春期の子どもたちよりも大人たちの方が茶目っ気があってかわいいですよね(笑)
葵依:
自分が年を取って来ると大人って案外大人になってないと思って、最近ますますお茶目になってきましたね。おっさんでも中身は子どもというか(笑)
幸橋:
わかります(笑)
葵依さんにとってこれまで作ってきた中でこれは名作というか好きだと思っている作品はありますか?
葵依:
ヒナゲシが1番好きですね、ロストデイズとかも好きです。わかりやすいし、自分が好きなどんでん返しがありますし、ボーイミーツガールですし。
幸橋:
本当に!? 私もねこ玉さんで好きな作品を挙げるなら
ヒナゲシとロストデイズです!
葵依:
ヒナゲシも家族が描かれてますよね。お父さん出てきますし。
幸橋:
そう! 演者の佐野さん
*14がめちゃくちゃ良い声でした。でも、最近は現代ものが多いので、葵依さんはそちらが好きなのかなと思って、なかなか言えないでいたんですよね。
葵依:
現代ものが受けるという打算は確かにあるかもしれません。好きに作った作品のレスポンスは少ないですから。
幸橋:
創作あるあるですね。自分の趣味と需要が異なるという。ロストデイズは、あれは凄い作品だなと思っていて、確かに物語の面白さは
ヒナゲシ圧勝なのですが
葵依:
圧勝(笑)
幸橋:
脚本、音楽、演者、編集全て合わさったあれは名作! というのは置いといて、ロストデイズはCD1枚分でバトルして、あの人数のキャラ描いて、願いを叶えるための殺し合いという物語もまとめてしまっているじゃないですか。これが出来るのは、ねこ玉さんだけだと聴いた時にしみじみ思いました。
葵依:
あれは自分でもうまく書けたなと思いますよ。
幸橋:
あと、すごくこわい事をするなと思っていて。違う時間軸のシーンを突然差し挟むじゃないですか。説明もなく、わかりやすいシーン切り替えもなく。でも、このシーンが何のシーンなのかわかるんですよね。そして、良いアクセントになる。でも、それは完成して聴けば話が通るというのはわかりますが、脚本段階ではなかなか想像できないと思うんです。ただの意味不明なシーンになりかねない。それをぶちこんでしまうなんてこわいことをするお人だと思いましたよ。
葵依:
あんまり深くは考えていませんでしたが、数をこなしてきたのでなんとなくわかるというか。間に挟んでいるシーンは本編と繋げているので、察しが良い人はわかるだろうと思っていました。あと、サイレントワールドをやった後だったので、結構無茶なことでもやっちゃえと思えたんですよね。
幸橋:
サイレントワールドは確かに色んな時間軸、世界が重なっていますしね。複雑でした。
葵依:
なんであんな風にしてしまったんだろうと思うこともありますが。
幸橋:
少しわかりづらい部分はあったかもしれませんが、大筋を理解する分には問題なかったと思いますよ。面白かったですし。
後半に続く!