ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」第7回は優しい包容力のある女性役ならこの方!(それだけじゃないよ)演者の杉宮加奈さんです!
所属サークルTEPSさんに加わった時のお話や、参加した作品についての思い出、そして、M3
*1前ということで、M3スタッフでもある杉宮さんにM3についてインタビュアーが個人的に謎に思っている部分を根掘り葉掘り聞いてみました!(←)
【本日のゲスト】
杉宮 加奈さん
長年同人商業問わず活躍される女性演者さん。優しく穏やかな女性に定評がありますが、最近は違うタイプの役柄を演じる事も多いそうな。
出演可能な役:少年、若い女性、中年の女性、老女※依頼可
URL:
幸橋:
本日のゲストはボイスドラマ制作サークルTEPSさん所属でもあり、長く演者さんとして活躍されている杉宮加奈さんです!
杉宮加奈さん(以下、杉宮):
こんにちは!
幸橋:
杉宮さんには声活動の他にもM3スタッフさんも長く続けていらっしゃるので、そのことについてもいろいろお話を伺えればと思います。よろしくお願いします!
杉宮:
よろしくお願いします!
『活動を始めたきっかけ』
幸橋:
まずは杉宮さん個人のお話ということで、恒例の活動のきっかけは?
杉宮:
演技自体は
学生の時から始めて声優を目指して養成所にも通っていました。同時に
同人活動もしていて、
同じ高校の子と漫画の掛け合いをして、その頃はまだカセットテープに録音していました。
幸橋:
カセットテープ! 時代を感じますね。私も子どもの頃はカセットテープを使っていた記憶があります。
杉宮:
最初は既存の漫画の掛け合いだったのが、友人が書いたオリジナルシナリオで掛け合いをしたり、合間にラジオ番組みたいなものも入れたり、歌を入れたりして。
それを
OVA専門のアニメ雑誌があって、そこに友人が住所を載せて、欲しい人連絡下さい! と。連絡手段が文通でした(笑)
幸橋:
わー、今ではなかなか想像できないですね。でも、今はネットがあるので、なんとか仲間を集められますが、その時代に一緒に活動できる友人がいるって良いですね。
杉宮:
同じクラスではなかったのですが、何か呼び寄せるものがあったんですかね。幸運にも同じ中学に仲間がいました。
それから少しお芝居に冷めてやめてしまった時期がありました。
幸橋:
また活動を始めようと思ったのはなぜなんですか。
杉宮:
演技をやめて5~6年後にビジュアル系バンドの追っかけを3グループくらいしていまして、その中の1つが曲の間に小芝居やセリフを入れていたんです。正直、上手くはなかったんですが、彼らが頑張っているのを見て、自分も久しぶりにやってみたいなと思うようになったんです。
それで、ネットで検索したのが始まりです。それが2002年ですね。
幸橋:
2002年って確かまだ検索はYahoo!の時代ですよね。それも今の
クローラーで自動登録されるのではなくて、確か登録されているサイトしか出てこないという(笑)
杉宮:
そうです(笑)そのサイトの中に
「せんこの部屋」*2という情報サイトがあって、
葵せんこさんという方が運営していたのですが、この方、
ネット声優ではなく、ボイスコ、ボイスコーポレーターという呼び方を提唱した方なんですよ。
幸橋:
へえー、すごい! その頃からボイスコという言葉があったんですね。もっと最近かと思っていました。
その「せんこの部屋」というのは企画の募集なんかが載っているサイトなんですか?
杉宮:
そうなんですが、すけぼ
*3みたいな投稿型のサイトではなくて、企画団体が企画の情報をせんこさんに送って、
せんこさんがその送られてくる企画を選別して、この企画は信用できそうだというものを手作業でアップしていたんです。他にも商業同人問わずせんこさんが調べてきた募集も掲載していて信用出来ましたね。
幸橋:
人の目で一旦振るいにかけるというのは良いですね。でも、そんなとても手間なことをされている方がいたんですね。そこで参加できる企画を探したんですか?
杉宮:
PCで声を録ることがわからず、ハードルがあったので、まずは会って演技の練習が出来る場所がないかなと思って探しました。今ではオンラインで企画して作品を作るサークルさんが多いですが、その頃は定期や作品を作る度に実際に集まるサークルが多かった時代でしたね。
私も実際に現地で会えるサークルさんを探していて、そこで今所属しているTEPSのメンバー募集を見つけました。なんとなく直観でここと決めて連絡したら、縁があってメンバーになる事が出来たんです。
幸橋:
こう言っては失礼ですが、TEPSさんって意外に参加メンバーさん多いですよね。いつもM3のブースにはお2人いらっしゃるので、プラス杉宮さんで3人くらいのサークルさんかと思っていました(苦笑)
杉宮:
でも、今は減りましたよ。MAXで15人くらい所属していた時もありましたから。
M3では、私もそうですが、サークルメンバーの内4人がM3スタッフをしているので、ブースには音虎
*4と西原やよい
*5の2人がいることが多いんです。
幸橋:
実は、杉宮さんはTEPSさんの立ち上げメンバーかと思っていたので、途中参加というのも意外でした。
杉宮:
TEPSは1998年で出来たサークルで学生時代の友人が集まって出来たのが最初と聞いています。
半分くらいが演者だったんですが、サークルメンバーだけで作品を作っていたのが、客演をお願いするようになって、作品に出られる人出られない人が出て来たり、サークルの活動方針と齟齬を感じる人が出て来たりで、抜けたり入ったりを繰り返して現在のメンバーになりました。
幸橋:
1998年というと活動期間が長いですが、作品を作るタイミングというのはどういう時なんでしょう。
杉宮:
最近はM3後に企画の話が出ることが多いみたいですね。M3スタッフのメンバーはM3の打ち上げに行ってしまうのですが、残りのメンバーでM3が終わった後に次作品が出せないのは寂しいよねという話になって企画書を作ってくれます。
幸橋:
M3が活動のサイクルを回しているんですね。M3に関しては、後でまた聞きたいと思います。
『出演作の選び方』
幸橋:
杉宮さんはいろんな作品に出演していて、企画選ばずみたいなイメージがあるのですが、どういう風に出演作品を決めているんですか?
杉宮:
基本はスタジオ収録しているところに応募しています。収録で出会って繋がったところにお声がけ頂いて出演することもあります。
幸橋:
収録方法で選んでるんですね。では、
宅録はしないんですか?
杉宮:
宅録はしていますが、苦手です。応募しても台詞数が少ないサブキャラですね。
幸橋:
それはどうして?
杉宮:
私は
自分の武器は集中力だと思っているんです。NGをあんまり出さなくて、一気に集中して一発か数発でOKを出すことが多いんです。でも、
宅録だとそんな風に集中が出来なくて。また、録った後の作業が大変なので、やってもセリフ数20~30くらいのキャラですね。元々主役向きでもありませんし。
純粋に募集に落ちることも多いですよ。
幸橋:
本当ですか!?
杉宮:
幸橋:
なんと、意外です。
『得意な演技は決めていない?』
幸橋:
杉宮さんは優しい暖かいお母さんのような女性のイメージが強いのですが、ご自身はどういう役が得意だと思っていらっしゃるんですか?
杉宮:
去年は仰る通り穏やかな役が多かったですし、私もそんな役が得意だと言ってきました。でも、実は今年はそういう役が全滅で、落ちているんです。
幸橋:
全部、ですか?
杉宮:
はい。今年はゲーム出演が多くて、それも若い役が多いですね。なので、得意な役はこれと決めないことにしました(笑)強いて言うならテンションの高い役は好きですね。ガラの悪い役とか。
幸橋:
杉宮さんでガラが悪い役なんてありましたっけ?
杉宮:
RMRさん
*6の
「超鬼兵ジーヴァイド」*7という作品に
イオナ・バースデーという女性キャラがいて。
幸橋:
そうだ、ジーヴァイドがありました! 姐さんと呼びたくなる、男前ならぬ女前というのか(笑)確かにそうですね。
では、テンションが高い役というのは?
杉宮:
voice team equalさん
*8の
「絶望のシャングリラ」*9の4号とか、
Arcadiaさん
*10の
「生まれる。~Real Wonderland~」*11の魔女はテンションが高くて楽しく演じました。
幸橋:
あー、絶望のシャングリラ(苦笑)実はお恥ずかしながら杉宮さんの出演作一覧の中に作品を見かけて、あれ? あの作品に杉宮さん出演してたかなと思って聴き直して思い出しました。ネタバレになるので、多くは語りませんが、4号はトラウマです。
杉宮:
わかります(笑)私もトラウマです。
幸橋:
あれは凄かったですよね(苦笑)たぶん杉宮さんのイメージと違い過ぎて覚えてなかったんだと思いますが、そのイメージと違い過ぎる演技が凄かった。
杉宮:
ありがとうございます!
幸橋:
でも、生まれるの魔女はそんなにテンション高かったですか?
杉宮:
確かに口調は穏やかですが、生まれるの魔女さんは独特のテンションの高さがありましたね。
幸橋:
個人的には、杉宮さんは穏やかな女性のイメージがある一方で、逆の氷のような冷たい女性も印象に残っているんですよね。例えば、TEPSSS
*12に収録されている「
コールドスリープ」
*13の女性とか。ああいう役は元々得意だったんですか?
杉宮:
いえ、
コールドスリープの女性は苦手な役でした。でも、
頑張って単調にならないように、飽きないようにと演じました。最後の台詞は脚本の音虎からピンポイントの指定があったので、その通り演じましたね。
幸橋:
あと、同じ印象をCrystal+さん
*14の玄星の塔
*15のエメットにも感じていたんです。彼女も終盤のある一言がゾクッとしましたね。氷のように冷たいとは違うんですが、一言の強さに圧倒されました。
杉宮:
本当ですか。嬉しいです。エメットさんも後半部分はヤマトアキさん
*16からすごく演出の指定があったんです。演技をする時、広げる演技と狭める演技を意識するのですが、
エメットさんのそのセリフは視野を狭くして、これでもかと集中してマイクにカッと伝える一言を追及しました。エメットさんは口調は冷たくても心は熱いので、熱い中に氷のような冷たさがあるという役でしたね。
後半に続きます!