ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」第13回は去年の後半で様々な作品で活躍、インタビュアーが個人的に毎年書いている「独断と偏見による〇〇年ボイスドラマまとめ」にて2017年のベスト演者さんに選ばせて頂きました、雨宮梅子さんです!
【本日のゲスト】
雨宮梅子さん
演者
2011年より雨宮梅子名義にて活動開始。正義感の強い少女や柔らかい声の少年などを演じ、ハーモスフィアさん*1や碧空プラネタリウムさん*2など名だたるサークルさんの作品に参加している。
出演可能な役:少年、少女、若い女性 ※依頼は要相談
URL:
幸橋:
去年、勝手にベスト演者さんに選んだというはた迷惑な理由だけでお呼びしました、本日のゲストは、雨宮梅子さんです! よろしくお願いします。
雨宮梅子さん(以下、雨宮):
よろしくお願いします。初めましてですよね(笑)
幸橋:
初めましてですね。なのに、こんな突撃依頼をして驚かせてしまってすみません(苦笑)
雨宮:
いえいえ。
<目次>
『活動始めたきっかけはゲームのflash動画』
幸橋:
雨宮さんは活動は2011年くらいからと聞いていますが、きっかけは何だったんですか?
雨宮:
実はその前から活動はしていて、本当に声の活動を始めたのは15年前くらいなんです。
ネット上で活動始める前からゲーム好きの友達とゲームのセリフをカセットに録音する遊びはしていたのですが、ボイスドラマを知ったのはPCを手に入れてから。ちょうどその頃、
flash動画が流行っていて。
幸橋:
2000年の初めってサイトの動画はだいたい
flashだったような気がしますね。
雨宮:
その中で同人ゲームの
flash動画を見ていたら、他はだいたい音楽と絵だけの動画が多い中で、
あるシチュエーションゲームのflash動画が絵と歌と声という盛り沢山の動画だったんです。このゲームの企画サイトに貼られた個人サイトを見て回って、ボイスドラマの活動を知りました。自分たちで出来るんだ! と思ってやり始めました。
幸橋:
最初はどんな作品に出演していたんですか?
雨宮:
最初はほとんど応募をしてなかったですね。マンガのワンシーンやコント・ギャグしかやっていませんでした。
幸橋:
今から考えると、雨宮さんがコントとかギャグをやっているって何だか想像出来ないです(笑)
雨宮:
そうですか(笑)
幸橋:
活動始めた初期はすごく手間のかかる収録をしていたと伺ったのですが、どんな方法だったんですか?
雨宮:
マイクをPCに直差しだとどうしてもノイズが入ってしまって、でも、皆さん音がきれいでどうしているんだろうと思っていました。私はMDに録音して、それをPCに繋ぐのが当時一番音がきれいに聴こえたので、その方法をとっていました。きれいというよりもこの方法だと高音がちゃんと収録出来たんです。ノイズはやっぱり入っていたと思います。
幸橋:
さっきのカセットもそうですが、MDというのが時代を感じます。私もMDをめちゃくちゃよく使っていた世代なので、懐かしいです(笑)
ちなみによく演じていた役柄はあったんですか。やはり少年少女とか?
雨宮:
どうなんでしょう? ただ、少年がすごく苦手です(苦笑)
幸橋:
本当に? 意外です。雨宮さんは少女役のイメージと共に、少年役をするイメージも強いですが。
雨宮:
そう言って貰えるのは嬉しいです。でも、女性は普段しゃべる感じで声を出せるのですが、少年は声を作る必要があるからですかね。苦手意識があります。
『役作りは自分出発』
幸橋:
去年出演していた作品を聴いていて感じたのは、雨宮さんは、演じる役に似せたり、そのキャ
ラクターの皮を被る、いわゆる「演じる」という感じよりも、少しだけ「自分の軸をキャ
ラクターの方にずらす」という印象なんですよね。極端な変化ではないけど、でも、確かにそこにいるのは演じているキャ
ラクターだなと思うというか。だから、変な違和感がないのですが、ご自身としては、演じる時に気を付けていることってありますか。
雨宮:
自分がまず信じられるラインから役を作りたいという思いはあります。それが違和感がないと思われた理由かもしれません。応募する時に声を作った方が受かりやすい印象なので、
同人作品の演技はナチュラルというよりはくっきりはっきりが良いんだろうなと思っています。でも、
個人的にそういう演技は苦手なので、想像して自分とは異なる別の人間・役を作るよりは、自分出発、自分にとって違和感がないところから出発して役作りをすることが多いです。
なので、さっき言ったように少年はイメージしづらいので、苦手なんです。ロリっぽいキャラも同じ理由で苦手ですね。
幸橋:
なるほど。
雨宮:
少年を演じる時にも優しい声音なので、女性っぽくなってないかなと心配になる時があります。強きの少年は難しいかも。
幸橋:
では、少年役だった「カフェトランキリテ」
*3はかなり苦労したのでは?(笑)
雨宮:
ずっと迷走してました(苦笑)本当に少年の演じ方を教えて欲しいと思っていました。私が演じた主人公のニアは少年ですが、大人びた感じもあって、アンバランスで、ずっとニアってこんな声だろうかと悩んでいました。この作品は応募だったのですが、最終的には企画者さんが良いと思って選んでくれたので、それを信じようと思いました。世界観がわかりやすかったので、脚本に引っ張って貰った感じですね。
宅録は迷走しやすくて、すぐに自分はどこにいるの? 状態になるので、戻って来れる最初の印象を決めておくことが多いです。台本に目を通した最初の印象が読み手としてシンプルに受け取ったものなので、聴いている方もイメージしやすいと思って。
何話にもわかれているもの、例えば、「深想コレクト」
*4や「花杯」
*5は特に心の体調によって受ける印象が違いますから、最初の目を通した時のイメージは大事です。
幸橋:
カフェトランキリテは
宅録作品ですよね。
宅録で気を付けていることはありますか?
雨宮:
たくさん話す役の時は一度収録してからしばらく期間をあけてもう一度聴きます。冷静になった状態で録り直すのですが、
自己リテイクが激しくて録っても録っても満足しません。なので、演じることは楽しいのですが、
宅録は録った後がたいへんですね。
あとは、これは
宅録の楽しさでもあると思っているのですが、
キャラクターの会話を別々に収録しているのに別々に聴こえないのが喜びですね。
会話を大事にしたくて、セリフがかみ合わず、変に宙に浮かないようなリアクションになるように気を付けています。
幸橋:
それは相手がどのようなアプローチで来るのかわからないのに大変ではないですか?
雨宮:
以前、梶原さん
*6の
「ENBU -炎舞-」*7を聴いた時に、笑兵衛さん*8と竹井さん*9の会話がすごくかみあっていて、こんなにかみ合う事があるの? と感動して、どこから会話を大事しよう、イメージしようという思いにギアが入ったように思います。掛け合いがイメージ出来ないと自分で全部会話を収録してそれを聞きながら、収録しています。
幸橋:
すごいですね。大変じゃないですか。
雨宮:
私よりも企画者さんが大変だと思いますよ。掛け合い相手とかみあうように何パターンも音声を送るので、取捨するのが大変だろうなと思います。4~5パターン録ったりもするのですが、選ぶのが大変だろうと思って送るのは2~3パターンに留めています。
『スタ録の思い出』
幸橋:
これまで参加した作品で思い出に残っている作品はありますか。
雨宮:
碧空
プラネタリウムさんの
「鐘の塔の魔法使い」*10が
初めてのメインキャラでのスタ録だったんです。
他のキャストさん皆で収録出来る環境であの量のセリフを録るのが初めてでとても緊張しました。碧空
プラネタリウムさんの作品って独特のカラーがあるじゃないですか。
モノローグがきれいであったかくて、そして、量が多い(笑)緊張はしましたが、皆で生で掛け合いをしたのは良い刺激になりました。
碧空プラネタリウムさんの作品は絵本みたいなんですが、言葉としても重くて温度をつける作業が楽しいです。
幸橋:
温度を付ける?
雨宮:
暖かいとか冷たいとか、文字で見えた温度を付けるんです。
幸橋:
冷たいだと、感情が乏しい
機械的な言い方にする、とかですか?
雨宮:
キャラクターをクールにするというよりも視覚的な冷たい色にするという感じですね。鐘の塔の魔法使いは雪が降っていて寒い場所の設定です。台本は文字ですが、その冷たい色が見えるようなんです。その色が見えるようにする作業です。
幸橋:
去年の「
スプートニクの記憶」
*11の菫も鐘の塔の魔法使いのニナも気が強いというか、柔らかい雰囲気の雨宮さんのイメージとは違うんですが、でも、やっぱり違和感がなくてスッと入って来るのが良いなと思っていたのですが、碧空
プラネタリウムさんではどちらの作品も近しいキャ
ラクターでの出演だったんですね。
雨宮:
気が強い系のキャラは前からやっていたので、個人的には違和感はありませんでした。でも、確かにどちらも正義感のある女の子だったので、そういうイメージを持って下さってるのかなと思っています。
幸橋:
スタ録で他に思い出深い作品はありますか。
雨宮:
幸橋:
ほとんど伝説化してるハーモスフィアさんですね(笑)どうでしたか。
雨宮:
環蝕のみらいは鐘の塔のニナと違うキャラでしたね。でも、碧空
プラネタリウムさんのように多少私をイメージして書いてくださったのかなとは思います。このお話は宇宙のお話ではないのですが、宇宙空間を漂うようなハモスワールドだったと思います。
幸橋:
雨宮さんにとってはハモスワールドはどんな世界なんでしょう。
雨宮:
ハモスさんのモノローグは言葉に潜っていくというか、文字がぎゅっと詰まっているという感じではないのですが、言葉を漂うような感じです。
そして、独特な世界なのに読んでいても世界に違和感がないですよね。環蝕はネット空間にリンクする話なので、創作ワードが出て来るのに自然に理解できるんです。碧空さんもそうですが、物語の世界に入りやすいのは演じていてつらくないですよね。どちらも脚本がしっかりしていてわかりやすいです。
幸橋:
仰っていたように環蝕のみらいは碧空
プラネタリウムさんで演じたニナや菫と異なる女の子でしたが、雨宮さんのどんな部分から出発して出てきた子なんでしょう。
雨宮:
実は自分が持っていったキャラはあったのですが、
最初のディレクションでキャラクターを変えて、その方がしっくり来たんですよね。最初はもっと無感情なキャラクターだったのですが、周りの演者さんとの掛け合いで感情が出てきました。元々、みらいというキャ
ラクター自体が感情的な気質で、クールだけど中身は激しいんです。クールというよりは秘めているだけでもっと感情のある子なんだよと教えて貰いました。
幸橋:
自分と乖離しすぎてやりにくかったという役はありましたか?
雨宮:
ゲームですが、「霧と太陽の王」
*13は人外の役だったので
人とは価値観が違いましたが、離れている分、逆に演じるのは楽しかったですね。他には別の名義で嫉妬にまみれた役を演じたことがあり、役に嫌悪を感じたことはありますが、
共感できなさすぎたり、かけ離れすぎたりすると、そこはふっきれてしまいますね。
幸橋:
自分から近いものは近いなりに、遠いものは遠いなりの楽しみ方があるんですね。
雨宮:
思い出深いというと先ほど名前をあげた深窓コレクトは応募で参加して、それまでは知人に声をかけて貰って出演していたのですが、
深想コレクトでこんなに長い続き物を完成させるなんてと感動しました。しばらくボイスドラマからは離れていたので、その間の作品についてはわからないのですが、NERVEさん
*14の幻影綺譚
*15の時も衝撃でしたね。
幸橋:
最近長編作品が出てくるようになりましたが、幻影奇譚は今聴いてもボリュームも中身も凄いですよね。名作の1つです。
『好きなサークルさん、演者さん、作品~インタビュアーわからなすぎてショックを受けたのは秘密です~』
幸橋:
これはもう恒例にするつもりでいるのですが、好きなサークルさんを教えて下さい!
雨宮:
ハーモスフィアさんはあの
透明感が良いですよね。
聴いていて気持ちがいいです。音作りがプロだなと思います。碧空
プラネタリウムさんは私がファンタジーが好きなのと、
あの絵本みたいなぬくもりが好きなんです。絵がふわっと浮かぶというか、刺激を与えてくれます。愛国主義さんは
ボーイズラブではなく、ボーイズフレンドとのことなのですが、Spiral Spiritさん*16とはまた違った夢があります(笑)
幸橋:
それでは、好きな作品は?
雨宮:
Mamyukkaさん
*17の
「10cider」*18が好きです。
テンポ感が良くて周りのキャラも曲者揃いで。
幸橋:
10cider好きは多いですよ。かく言う私も例に漏れずです(笑)
雨宮:
良いですよね。あと、碧空
プラネタリウムさんの
「霧の中のロビン」*19も良い! ハードリピートしています。高橋さん*20の双子っぷりがたまらなくて、織山カヨさん*21が大人の女性とか青年役のイメージだったのが、この作品で女の子を聴いて癖に刺さるなと思いました。まろやかなのに刺さる。
幸橋:
最近、織山さんの名前を挙げる方をあまり見かけなくて寂しいですが、わかります。
雨宮:
あと、Ten Count+さんの
「ガラクタアリス -ヒトリメの君ヘ-」 *22私の中二心はここで形成されました。
幸橋:
まずい。そろそろわからなくなってきました(苦笑)嫌な予感しかしませんが、では、好きな演者さんは?
雨宮:
幸橋:
わー、やっぱりだー、わからない(泣)
雨宮:
特に
留桜良姫さんは追っかけてましたね。七色ボイスで、
アイマスが流行っていた時だったのですが、その二次創作で12人くらいを1人でやるような人でしたよ。
幸橋:
12人を1人は凄いですね。
雨宮:
竹井さんや梶原さんや浅倉桐さん*24の
中性的なイケボも好きです。
幸橋:
や、やっと、わかるお名前が。良いですよねー浅倉さんなんてまさにイケボという表現がぴったり。竹井さんは最近知ったのですが、少年声が好きですし、梶原さんは私は色気のある女性が好きです(笑)
雨宮:
他には
masatoさん、ムラカミハジメさん*25、桜居ひかるさんでしょうか。好きな演者さんはサンプルボイスをDLして保存する癖があるので、手元には色々残ってますよ(笑)
幸橋:
自分の知識量がまだまだだとわかりました。精進します。
『今後の予定』
幸橋:
では、最後に今後のご予定は?
雨宮:
春M3参加作品やWEB公開作品でいくつか参加しているのですが、情報公開がまだなので、公開されたら
Twitterで告知します。
幸橋:
去年の秋M3作品複数に出演されていましたが、今後またボイスドラマでの活動が増えるのでしょうか。
雨宮:
秋M3は偶然参加した作品が重なってしまっただけですが、依頼は受け付けているので、条件をご相談してもらえればと思います。
幸橋:
私としてはもっと雨宮さんの演じる役を聴きたいので、ぜひ依頼して欲しいです(笑)
インタビューは以上です!
雨宮さん、ありがとうございました!
『後記』
最初に書いたように、昨年末勝手にベスト演者として選んだ雨宮さんをお呼びしました。雨宮さんの演技は等身大(リアル)から1歩歩み寄った感じで、リアルとしても役柄としても違和感があまり無くて気になった方でした。なので、その辺りの話を聞こうとしたのですが、私がボイスドラマを聴き始める前の作品や活動者さんの話で盛り上がり、まだまだ知らないことがたくさんあるなあと感じた次第です。名前だけしか紹介出来ない方もいて私の不徳のいたすところ……申し訳ない。
演技もそうですが、雨宮さんご自身もお茶目で気さくでとても素敵な方なので、益々ファンになりそうです(笑)
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インタビュアー/幸橋
幸橋 (@kusanotsuki) | Twitter
ボイスドラマリスナー。
2009年よりボイスドラマ作品を聴き始め、2013年より開始した感想メモブログ「視聴note」にてボイドラ関連の記事が900件を突破(2018年1月時点)
「ボイドラと人」に関しての問い合わせ
【皆さんからの紹介をお待ちしています!!】
「番外編リスナーおすすめボイスドラマ作品紹介」では、皆さんのおすすめボイスドラマ作品紹介を募集しています。
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