『シチュエーションボイスの裏話を聞いてみた』
幸橋:
栄人さんと言えば、声質が特徴の1つだと思うのですが、こういう点で生かしているということはありますか?
栄人:
そうですね……シチュエーションボイスでイケメン部分で使って貰えますね。声はイケメンです(笑)
幸橋:
これだけ言われて、今更、謙遜しても仕方ないですしね(笑)
依頼はやっぱりボイスドラマよりもシチュエーションボイスの方が多いんでしょうか。
栄人:
多いですね。今はシチュエーションボイスのご依頼は多いですし、活気があると思います。
幸橋:
ボイスドラマとシチュエーションボイスの演技の仕方は変わるんですか?
栄人:
全然違います。1人でしゃべるのと掛け合う相手がいるのとではだいぶ違いますね。
幸橋:
例えば、どんなところが?
栄人:
シチュエーションボイスは自然な演技はあまり意識してません。「萌えて頂ける」事が大事だと思うので、ここは迫るシーンだし抑えてみようかな、とか「ここは囁いた方がいいな」とか客観的に考えて演じます。逆にボイスドラマだとこんな声を使おうとは意識しません。意識してしまうと狙い過ぎて通常会話ではなくなるんです。
幸橋:
シチュエーションボイスは声を意識して、ボイスドラマだと会話を意識する感じでしょうか?
栄人:
そうですね。あとは演じる時、相手となる女の子のセリフの想像力が重視されますね。ボイドラでは相手のセリフがちゃんとあって、相手の方が演じてくれるので、こう来るのでこう返せば良いというのがわかるんですが、シチュエーションボイスは相手のセリフが書いてない事が多いので、自分でどういうセリフが返って来るか想像しないといけません。こういうセリフが来るからこう返そうとか。動作も詳しくト書きに書いてなかったりすると、ここではこう動いてみよう、ここでは髪触ってみようとか全部想像してます。台本をただ読むだけだと単調になってしまうので。使う思考が全然違います。
幸橋:
単調にならないような工夫を色々されているんですね。
栄人:
でも、よく寝落ちされるみたいです。最後までまだ聴けてませんとよく言われます(笑)
幸橋:
聞き心地が良いってことですよ(笑)
シチュエーションボイスって急激に見かけるようになりましたが、いつ頃から増えてきたんでしょう?
栄人:
5年前くらいでしょうか? 今はたくさん作品が出ていますが、最初ご依頼頂いた時はびっくりしました。自分が出た時は男性向けの、女の子がエロいシーンをするような作品は多かったんですが、女性向けがまだ少なくて。ちょうど女性向けにも流行りが来るくらいに依頼を頂きました。当時は、催眠音声が流行っていて、そこからシチュエーションボイスに変わって行くんですが、先駆者もほどんどいらっしゃらなくてどうやったら良いんだと(苦笑)
幸橋:
催眠ですか?
栄人:
最初は女性向けは催眠音声が多かったんですが、催眠音声は台本は書ける人は少ないんです。催眠をちゃんと調べた人が書かないと催眠に入れないとか催眠が解けないとか。解除までいかないと危ないと一時期問題になったので、催眠を抜いたシチュエーションで良いんじゃないかという流れになって今の形になったんだと思います。
幸橋:
否定はしないのですが、シチュエーションボイスはなかなか聴けなくて、知っている方の出演情報流れて来ても聴けないなあと少し残念になる時があります(苦笑)
栄人:
作品の質が違いますからね。自分も聴く側ではあまりハマれませんでした。
やっぱり掛け合いが楽しいのでボイドラにいます。
幸橋:
ボイドラ界隈にいる私としては有難いです。
『イケメン成分排除してくれますか?』
幸橋:
逆に声が立ちすぎて困ることはありますか?
栄人:
普通の役とか素朴で自然な役で、部分的に真面目なシーンで声が低くなると、イケメンになっちゃっているんで取り直してと言われることが結構あります。この役ではイケメン成分排除してくださいとか(苦笑)
幸橋:
最近ではどの作品で言われましたか?
栄人:
碧空
プラネタリウムさんの
「アステリズムの水葬」*1は、いつもの感じではできませんでした。聴いて頂ければわかるんですが、
演じたスイは序盤からずっと生気を感じられず、力一杯声を出せない役なので、いつもの声の出し方ではないところでチャレンジをしましたね。
幸橋:
そうですよね。輪郭がいつもよりはっきりしない声だなと思っていました。
他にイケメン成分除いた作品と言えば?
栄人:
最近出たフリーゲーム「CONANROOM」*2で一言二言の名前がないモブ役をやっていて、ネタバレになるのであまり言えないのですが、
本気の命乞いをしました(笑)イケメン成分無しでやったので、自分としては珍しいです。
幸橋:
それは聴いてみたい(笑)
栄人さんはそういう悲鳴、狂気的な感じも多いですよね。Greedianさん
*3の「コーンフィールドに眠る」
*4とか。
栄人:
ありましたね。あっちは美藤さん、自分が碧空さんというくくりがあるみたいで、共演は珍しいと思います(笑)改めて今キャスト見るとこんなに豪華だったんだなと思いますね。
あと、狂気というと、おぼろまどかさん*5の「Trembler」*6
幸橋:
実は、今、聞こうかなと思ってました(笑)言うとネタバレになるキャラですが、演じてみてどうでしたか?
栄人:
台本を見てわおっと思いましたが、ほほう、嫌いじゃないよと(笑)
幸橋:
それは良かった(笑)結構特殊な作品でしたから。
栄人:
狂気に満ち溢れた役はやりたいですよ。イケメンをやるより楽しいです。
『好きなサークルさん、演者さん、作品』
幸橋:
恒例で皆さんに聞いているのですが、好きなサークルさんや演者さん、作品を教えて下さい。
栄人:
もうかなり名前を出していますが、
碧空プラネタリウムはサークルさんとしては信頼していますし、作品の雰囲気が好きですね。
あと、
Mamyukkaさん*7が好きです。昔の作品に出させてもらって、歌の中にセリフがある時にも少しやらせてもらいました。
幸橋:
では、演者さんで好きな方は?
栄人:
女性だと
笑兵衛さんですね。
役幅が広くて、やっている役によって笑兵衛さんだと判別できないくらいです。雨宮梅子さん*8も最近出演が少ないですが、うまいですよね。
男性では、自分が真似できないというところで、ひげ太郎さん。あのテンションの高さというか、ギャグ要素は、質が自分と全然違います。持って生まれた何かですよね。少しでも取り入れられたら自然な演技ができるのかなと思うのですが。
そして、名前が出過ぎて腹立つんですが、美藤さん。
幸橋:
腹立つ(笑)
栄人:
似た感じの役、イケメンとか二枚目のキャラをやる方の中ですごいと思います。美藤さんに対しては、悔しいなあという感じです。
幸橋:
では、作品は?
栄人:
自分が出ていないものはあまり聴かないのですが、これまで挙げてきた作品と
「GLASSES BREAKER'S」*9
幸橋:
メガネ割りですね!(笑)ほんと良い意味で頭おかしい企画ですよね、ボイスコの無駄遣い、大好きです←
栄人:
あと、
同じくひげ太郎さんの企画で「Dragon's eden」*10自分が召喚する竜がヨッシ~バランさんだったんです。
幸橋:
あー、あの時期的に絶対エイプリルフールだー! と思いながらも、豪華だったから作品にして欲しかったけど、やっぱり嘘だった企画ですね……
栄人:
ほんと、豪華でしたね。
『今後の予定、やってみたいこと』
幸橋:
では、最後に今後のご予定は?
栄人:
アルパカ技研さん*11の
「KISS→MISS」
*12の動画、
▲●■×さん
*13の「かおなしのダブル」*14、
GENERAL DOGさん*15の「外道丸 GE-DOH-MARU/酒呑童子異伝」*16、
「ローゼ・クラン-永久の薔薇たち-」*17の追加キャストに受かったので出ます。最近、発表のあったところでは以上でしょうか。
幸橋:
おお、流石というと変ですが、次々に決まっていますね。
ちなみにこのサークルさんや、作品に出てみたいというのはあるんですか?
栄人:
iDearoomさん*18の作品は出たかったんですよ。スタ録の日程が難しかったので、エキストラで応募しようと思っていたんですが、出来ませんでした(苦笑)
幸橋:
あ、スタ録も大丈夫なんですね。
栄人:
iDearoomさんは好きなのでスタ録でも出たいなと思っていました。スタ録はやらない訳では無いのですが、全然知らないところとかだと応募しませんね。
幸橋:
他に出たいところは?
栄人:
ハーモスフィアさんが復活して作品作るなら是非応募したいですね。ここに出たいというのは少ないです。名前を聞いた事があっても作風がわからないとか(苦笑) でも、今回、出演するGENERAL DOGさんは作品がおもしろくて、今、募集しているから応募してみたらと薦められて応募しました。
幸橋:
GENERAL DOGさんは確かに作品面白いですね。結果発表に栄人さんのお名前があって喜んでいた口です(笑)
今後、依頼も増えてきそうですが、こういう役をやりたいってありますか?
栄人:
好きなのはガサツな役ですね。求められているのが落ち着いている役なのはわかっているのですが、自分が口が良い方ではないので、口調が崩れている役は楽にできるんですよね。
幸橋:
そうなんですか?
栄人:
口悪いですよ(笑)それなのに、敬語キャラが多いので四苦八苦しています。ヤンキーとかガサツな役をやりたいんですが、ヤンキーが得意な人がいるんでそちらに行ってしまうんです。今はいないですけど、例えば、桐生圭さん
*19とか。
幸橋:
あー、ヤンキーというかチャラい感じのイメージが(笑)確かに最近お見かけしない……
栄人:
出て来られなくなって寂しいですね。桐生さんがやっていたような役がやりたいです。
幸橋:
なるほど! では、栄人さんにぜひヤンキーの役を(笑)
他の役ももちろん聴きたいですけどね。これからまたたくさん栄人さんの演技が聴けるのが楽しみです。
以上、栂井栄人さんのインタビューでした!
ありがとうございました!
『後記』
自分得の回でしたが、こういう役得があっても許されるはず! Chronusさんの思い出話が出来て私は満足です← ちなみに「the Second Reproduction」は私が初めて買った
乙女ゲームで、そのスピンオフのドラマCD(これがChronusさんの1作目)は私が初めて買ったドラマCDなんですよね(笑)という思い出の作品です。
あの声を一人占めしたことは全国の栄人さんファンの方々にお詫びしたい所存、ですが、インタビュー楽しんで頂けましたか? あまりシチュエーションボイスを聴かない私ですが、お話、面白かったですね。催眠音声なんて初めて聴きました。シチュエーションボイスで活躍している別の方のお話を聞いても、やはりちゃんとプランがないと飽きさせずに聴かせるのは難しいんでしょうね。
だが、しかし! 私はボイスドラマの出演作を待っています←