ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」

「ボイスドラマ」をテーマに、インタビュー記事をメインコンテンツとして配信しています。今後、ボイスドラマに関わるイベントや新作の告知、作品紹介コラムも増やしていく予定。

【コラム】企画者に聴いて欲しいボイスドラマ作品

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リスナーに向けて聴いて欲しい作品がほとんどの中で、企画者に聴いて欲しいと言い続けている作品がある。
 
こんにちは、ボイスドラマリスナーの幸橋です。
一旦は、リスナーと名乗ることにしたらしいです。
このコラムは1,000以上(たぶん)のボイスドラマ作品を聴いてきたリスナーの私が気ままに綴るボイスドラマ関連なら何でもありの連載コラムです。
コラムって書くと途端にかっこよくなるけれど、単に明確なテーマ・企画が決まってないだけです(台無し)
そんなことはさておき、本題に入りましょう。現在、色々調整中なので、文体迷子です。悪しからず。
 
 
私には、企画者に聴いて欲しいと言い続けている作品がある。
それが、桐下暁さんのサークル「Sous le Paulownia」の「テスカトリポカの幻肢痛だ。
<あらすじ>
“高い壁に囲まれた都市。父から武器職人を継いだ少年テオは、その類まれなる才能により、昼は工場で人殺しの武器を作り、夜は慰めに自分の望むモノを創っていた。そんな彼と彼の創り出すモノを慕って遊びに来る無垢な少女リリ。彼女は貧しい生活の中で父親に冷遇されていた。彼らは美しいオルゴールの曲が響く中で、遠くの世界を夢見ていた。そんなある日、とある出来事をきっかけに彼らはここを逃げ出すことを決めるがーー”
 

 

桐下さんのお名前は企画者というよりも音響編集スタッフとしてご存知の方が多いかもしれない。
男性ボイスコのひげ太郎さんや神崎智也さんが企画していた「GLASSES BREAKER'S」、通称「メガネ割り」シリーズ3作品全て編集を担当しているし、神崎さんの個人サークル「Vitraloqui」の作品や、女性ボイスコとしても知られている春希ジュンさんのサークル「Greedian」の「ラスト・メモリー」や「VANISH:CODE」の編集も担当している。
1つは聴いたことがある! という方もいるのではないかと思う。
 
ちなみにサークル名「Sous le Paulownia」の読み方をカタカナ表記にするとスルポロニャ(発音は完全無視)
Sous le Paulowniaさんを知って7年程経つが、初めてこの一風変わった名前を調べてみたところ、フランス語でSous leは「~の下」、Paulowniaは「桐(の木)」という意味で、まさかのお名前「桐下」をフランス語で表記したらしいということが発覚。
そのまんまなのに何でこんなスタイリッシュというか謎めいた雰囲気を漂わせてしまうのか、桐下さんのセンスに脱帽。
 
けれど、実は今回、名前を挙げた「テスカトリポカの幻肢痛」もある意味、そんな桐下さんらしい作品と言えるかもしれない。
 
どこまでもシンプルで真っすぐそのまんまだけれど、一歩踏み込まないとそのシンプルさには気づかない。
最初から最後まで一本芯の通ったぶれない軸が快い。
それが桐下さんの作品の良さだと私は思っている。
そして、それは同時に企画者さんには個性を追い求める前に一度は目指して欲しい部分でもある。
奇をてらわなくても良作は作れる。それを体現したのが、「テスカトリポカの幻肢痛」だ。
 
タイトルから始まり本編全体を真っ直ぐ突きとおすように存在する軸。
極論を言ってしまうと、タイトルに作品の全てが書いてあるので、聴かなくても良いとさえ言える。
 
タイトルにもなっている「テスカトリポカ」
これまたスルポロニャ並みに噛みそうな言葉だが、皆さんはご存知だろうか。
テスカトリポカは、アステカ神話に出て来る神様の1柱で、世界を創造した神とされている。
テスカトリポカは片足がない姿で表現されるのだが、それは世界創造の際に現れた怪物を引き付ける餌として足を差し出し食われたからだ。
 
そう、だから、幻肢痛
失ったはずの体の一部が痛む。
 
「失った体の一部とは?」
 
その問いがこの作品を突きとおす「軸」を知る一歩だったと聞いた後にわかるだろう。
 
桐下さんの細やかな編集。
少数精鋭の演者が生み出す豊かな空気感。
ボイスドラマでお馴染みの作曲者のbさんの切なく美しいメロディ。
 
そんな要素も勿論楽しんで欲しいけどね。
 
 
最後に私の思い出話をしておくと、私が初めて出会った「振り込めない詐欺」のボイスドラマでもある。
今でも音源のDL、Podcastの配信、Youtubeでの公開と2011年の公開時から至れり尽くせりの充実さではあるが、当初はこれにプラスして、CDも配布していた。
無料である。
かつ、イベントでの配布ならまだしも(もちろんイベントでも配布していた)
 
本当に最初は、「郵送」していた(確か期間か数量は限定していたと思うけれど)
 
引くくらい(←)にサービス精神旺盛な企画者さんだ。
ここまでやれとは言わないけれど、いろんな媒体にバラバラに存在するリスナーに優しい公開方法もぜひ参考にして欲しい。
 

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幸橋(ゆきばし)
幸橋 (@kusanotsuki) | Twitter
ボイスドラマリスナー。
2009年よりボイスドラマ作品を聴き始め、2013年より開始した感想メモブログ「視聴note」にてボイドラ関連の記事が900件を突破(2018年1月時点)

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