ボイスドラマ活動者インタビュー企画「ボイドラと人」第17回は、作曲者としてボイスドラマ作品にも多くの曲を提供し、ご自身でもボイスドラマ作品を企画している涼風ひさめさんです!
作曲者としてボイスドラマ作品に曲を提供する時の裏話、そして、私が大好きな優しい世界とキャラがどのように生み出されるのか聞いてみました!
【本日のゲスト】
涼風ひさめさん
作曲者、企画者
iDearoomさんを始めとしたボイスドラマサークルに曲を提供し、サークルWhereverにて楽曲、ボイスドラマ、ゲーム制作を行う。
URL:
幸橋:
ボイスドラマ作品に曲を提供し、ご自身でもボイスドラマ作品を企画する企画者さんでもある涼風ひさめさんをお呼びしました。作曲者と企画者という2つの立場からお話を聞きたいですが、涼風さんの企画大好きなんで、そっちが恐らくボリューム多くなります!←
よろしくお願いします!
<目次>
『ボイスドラマに曲提供を始めたきっかけ』
幸橋:
最初に初歩的な質問してしまうと、いつ頃から作曲されているんですか?
涼風ひさめさん(以下、涼風):
中学2年生くらいでしょうか。文明の利器のお陰でパソコンで作曲が出来るようになって。
幸橋:
万年音楽2だった私からすれば、中学生で作曲していたという時点で凄い……
そこからどうしてボイスドラマへ曲提供するようになったんでしょうか。その前にボイスドラマを知ったのはいつですか?
涼風:
iDearoom*1のりおさん*2からM3に出すCDの劇判を依頼された時にボイスドラマを知りました。2010年くらいだったと思います。その前にM3に出す
MIDIのCDに曲を提供したことがあって、M3というイベントの存在は知っていましたが、りおさんからM3に出す作品と聞いた時に音楽以外の作品もあると初めて知りました。
幸橋:
どこ見ていらっしゃったんでしょうね。サイトでしょうか。
涼風:
色んな場所で曲を発表したいなと思って、同人音楽の森*3で、インストや歌曲を投稿していて、それを見てくださったようです。劇判作れますかという問い合わせのメールを頂いて、そこからです。
幸橋:
iDearoomさん、そういう開拓力もすごいですね。
涼風さんは普通に音楽のアルバムにも曲を提供していますが、そういう場合とボイスドラマへ曲を提供するのに違いはありますか?
涼風:
BGMの場合は、声優さんの声ありきなので、控えめで目立たないように気をつけています。ドラマを支える縁の下の力持ちのような感じで。テーマ曲の場合は、逆に目立って印象に残るようにしていますね。作品のイメージを外さないようにだけ気をつけて、かなり自由にやらせて貰っています。でも、CMやサイトで流れる音楽として使われることが多いので、責任重大ではありますね。
幸橋:
他の人のボイスドラマの楽曲依頼って、どんな感じなんですか? 私も依頼したことはあるのですが、音楽のことが全くわからないので、作品の設定・雰囲気はこうなので、こんな感じの曲でお願いしますとざっくりした依頼を投げてしまうのですが(苦笑)
涼風:
そうですね(笑)音楽に詳しい人だとかっちりとした依頼書が来ますが、ボイスドラマの場合は、台本やキャラのイラストを頂いて、そんな感じです、あとはお願いしますという感じですよ。自由に作れるので、作っている時は良いんですが、提出する時に自分の解釈だけで作っているので不安にはなります。でも、皆さん、お優しくて、だいたいOKをくださるので、それで良いのかなと。
幸橋:
よ、良かった。あんまり変わらなかった……←
でも、ぶっちゃけそういう依頼って困りませんか?
涼風:
私は、台本かキャラや背景の設定、絵で雰囲気がわかれば、感覚で作るので大丈夫です。だから、依頼が欲しいです(笑)
ボイスドラマは歌曲よりもいろんな物語の起承転結があって、リスナーとして聴くのは好きですし、参加したいとも思います。
『企画者になった理由』
幸橋:
涼風さんも企画者としてボイスドラマを作っていますが、ご自身でも作ろうと思った経緯は何でしょう?
涼風:
依頼を貰う内に
自分でも作ってみたいなと思ったんです。
依頼でなければ自分の好きに出来るなとも思いましたし、募集からボイスを貰って編集して曲を入れて発表するといった
企画の一連の流れを勉強したいなとも思いました。そして、作ったのが
「死神とわたし」*4です。
幸橋:
作ってみてどうでしたか?
涼風:
大変でしたが、楽しかったですね。なので、次は販売してみようかなと思って怖々、「怪盗鑑定士の冒険」*5を作りました。
幸橋:
あれ? その間に小説と音楽を合わせた作品がありますよね?
涼風:
大変だったので、一度、音楽の表現に戻ったのですが、声も音も合ったほうが自分の伝えたい世界観がわかりやすいですし、2時間以内の宝箱のような物語をもう一度作ってみたいと思ってボイスドラマをまた作りました。
『決まっていない曲の特徴』
幸橋:
涼風さんの作る曲には多様なジャンル・雰囲気の曲がありますが、ご自身でこのジャンルが強いとかこのジャンルをメインにしているというのはありますか?
涼風:
実は全くないんですよね。
よく言われるのは、三拍子で暗めでゴシックという雰囲気だそうです。
私が曲を作るとキャラの首が飛ぶ(死ぬ)とか(苦笑)
さらさらした明るい曲も出来るはずなんですけどね。机上の遊戯さん
*6のOPとか、あまつ
*7とか。
幸橋:
その物騒なイメージは、iDearoomさんの作品のイメージでは(笑)
涼風:
それもあるかもしれません(笑)あとは、切なめと優しめの間とか。一言では言い表せない、何とも言えない曲風なんですよね。特徴が無いのかな。だから、ボイスドラマの企画者さんとしてはわかりづらいから依頼が無いのかもしれません。
幸橋:
そんなことないですよ。単純に依頼できるのかわからないだけだと思いますけどね(笑)ご自身でも企画をしているので、企画者さんの気持ちもわかるでしょうし。
涼風:
実際やってみて、企画者さんのすごさがわかりました。
健康第一です、どうしても難しかったら連絡だけくださいとか言ってますね。
幸橋:
や、優しい……
そう言えば、涼風さんは純粋な音楽アルバムって出してないですよね。だから、どのジャンルをメインとしているのかわかりにくいのかも。
涼風:
確かに旧作で使ったBGMのまとめコレクションとかしか出してないですね。秋くらいにボイスドラマとは関係なく募集をして合唱をやりたいなあとは思っています。
幸橋:
表現するのにボイスドラマと音楽という複数の選択肢があると思うんですが、どういう場合にボイスドラマで、どういう場合は純粋に音楽だけの表現になるんでしょうか?
涼風:
普段作らないような別ジャンルの音楽や勉強している音楽をやりたい時にボイスドラマの音楽として使わせて貰っていますね。普通の音楽の場合はよく作るような曲調で作曲しています。
幸橋:
ボイスドラマの方が実験的な要素が大きいということですか。
涼風:
そうだと思います。
『全て1つの物語』
幸橋:
既に名前が挙がった死神とわたしや怪盗鑑定士の冒険で、当然のように別に関連する物語があるような発言をするキャラがいるのですが、特に該当する作品が無いんですよね。これは何だろうと気になっているのですが。
涼風:
実は死神とわたしから以降の作品は1つの物語なんです。
幸橋:
ん? それはつまり全ての作品の世界が繋がっているということですか?
涼風:
全てではありませんが、そうです。それぞれ1作品ずつ完結していますが、別々の作品の主要キャラが関わりがあるという感じですね。
幸橋:
その構想はいつから考えていたんですか。
涼風:
7年前くらいからでしょうか。
パソコンゲームの「Stella Cielo」*8を作った時に、この世界観で行こうと思いました。次ありますよという感じを出すとその作品を買ってくださった方に申し訳ないので、これはどういうこと?と思って貰える程度にしています。
幸橋:
思いましたよ。別の世界? 別の物語? と思っていました。あれ? そう言えば、死神とわたしと「Belleza-消えた肖像-」
*9にそれぞれ岡本真というキャラが出てきますが、これも?
涼風:
Bellezaで岡本真君を出せたのは私の中でも大きいです。死神とわたしから構想していてやっと出せました。1キャラごとに三部構成で行こうと思っていて、死神とわたしでは鈴木利奈に焦点を当てましたが、Bellezaでは主人公は勿論ダミアン君なのですが、実はどこぞの真君も重要という(笑)
幸橋:
涼風:
いえ、違います。彼らは同一人物ですよ。
幸橋:
え? え? だって、時代が違い過ぎますけど?
涼風:
そうなんです(笑)彼の場合は、普通なら200年経っているよねというのを三部作で説明して落ち着かせたいんです。
幸橋:
すっごい気になる……
そういうキャラは何人いるんですか?
涼風:
1クラス分33人くらいですね。これは完全に趣味ではあるのですが、キャラにタロットカードを当てはめているんです。キャラクターの基礎はあらかじめ作っておりますが、タロットカードの意味にも多少合わせています。
幸橋:
へえ、例えば?
涼風:
怪盗鑑定士に出て来るリエルが「世界」で、Stella Cieloの
リュウトは「愚者」、ロランは「星」という感じです。
めちゃくちゃ重要なキャラはタロットカードに合わせて22人います。しれっと物語がきっちり終わるごとにタロットカードを出しているんですよ。死神とわたしでは死神のタロットカードを出していますし、Stella Cieloのサウンドトラックに付いて来るポストカードには星が出てきます。
幸橋:
気づいてなかった……(苦笑)趣向が細かいですね。
『友人をモデルにした優しい登場人物たち』
幸橋:
今更なんですが、私、涼風さんの作品のキャラがめちゃくちゃ好きでして。ボイスドラマは4作品しかないのに、その内の2作品のキャラを年間ベストキャラに選ぶくらいなんです(※インタビュアーは年末にベスト○○(作品、演者、キャラ等)を勝手に決めている)
涼風さんの作品やキャラがとても優しくて、あのキャラたちはどのように出来上がるんでしょうか。
涼風:
それぞれのキャラの外見と中身の設定は綿密に決めますが、その後は実は何もしないんです。
ある条件化に置くとキャラが勝手に動いてくれます。自分の感情を入れると都合が良いキャラになってしまうので、なるべく私情は入れないようにしています。例えば、「Endless Dream」
*10のガッティだと、ちゃんとした大人なので、もっと包容力があって優しいことを言って欲しいと思うのですが、ガツンと言うタイプなんだろうと思います。そんなこと言ってくれません。
起きる事件と時間とその場にいるキャラを決めて、私はその状況を書くだけの記録係なので、優しくしようとか厳しくしようとか考えてないんです。
幸橋:
確かにこいつ都合良いなという感じではないですよね。あるキャラだけが特化して優しいとかだとたぶん不自然なんですけど、他のキャラとの関わり方の中に優しさがあるというか。
涼風:
そのキャラに似ているリアルの人間の心理や客観的な行動を当てはめて、不自然さを感じない、自然な作りになるようにはしていますね。
幸橋:
それは、それぞれのキャラにモデルがいるということですか?
涼風:
はい、主要キャラはだいたい全員モデルがいます。想像だけだと不自然になりそうだなと思って、友人をモデルにしています。自分の友達にもそういう人がいるなという身近に感じる描写を出したいなと思っています。事件やきっかけはそうは起きないですが、登場人物に関しては、こういう人いるなと共感して欲しいんです。
幸橋:
じゃあ、実際にいらっしゃるんですね(笑)
涼風:
いますね。死神とわたしに出て来る主人公の同級生は実際に私の同級生がモデルです。真君は同級生ですし、主人公の鈴木利奈さんもいますね。いつもお世話になってます(笑)
幸橋:
それは皆さんご存知なんですか(笑)
涼風:
知ってますよ。私、嘘がつけないので、会社でも学校でもみんな私が創作していることを知っています。なので、続編まだなのと言われることもあって、それで火をつけてもらっているところがありますね。
幸橋:
すごい、私は完全に秘匿しているタイプです。
そう言えば、
リュウトが全キャラを通して一番優しいという発言を見たことがあるような気がするんですが、彼にもモデルがいるんですか?
涼風:
怪盗鑑定士のリュウトは優しすぎますよね。優しすぎて牢獄に入れられたり。
彼は初恋の人がモデルです(笑)
幸橋:
周りの人に恵まれているというのもあるかもしれませんが、周囲の人の優しい部分というか良い部分に目を向けられるって凄いですね。私だったらもっとドロッとした嫌な部分とか強調しそうです。性格が出ますね。
涼風:
リアルさを出したいなと思いますが、怪盗鑑定士に出て来るラスボスがこれまで私が描いた中で一番の悪役ですね(苦笑)これからシリアスな展開になっていくのですが、キャラたちが危機に陥った時にどうするのか現時点では全く考えてないので、その檻に投げたら彼らはどうするのか今から楽しみです。
幸橋:
それだと物語があっちこっちに行って収集つかなくなりそうな気がしますが、そんなことは無いんですね。
涼風:
終わりのステージは作っているので、ステージとキャラの設定だけちゃんと作っておけば、収まってくれる……はず。しっかり書き込んでいる人はちゃんと起承転結があって終わるので、すごいなあと思います。
幸橋:
そう言えば、さらっと流してしまったのですが、さっきの一番優しいというのは私はStella Cieloの
リュウトのつもりだったのですが、怪盗鑑定士にも
リュウトがいて、まさか、彼も……
涼風:
同一人物ですね(笑)
幸橋:
うわー、やっぱりですか!
涼風:
リュウトは物語全体の主人公です。
私の作品で同性同名で別人ということは無いですね。
幸橋:
そして、まさかの主人公。でも、雰囲気がだいぶ違う感じがしますね。
涼風:
学生の段階では彼は本当に優しいだけなんですが、そこから
優しいというのはどういうことか学んでいくんだと思います。
怪盗鑑定士の時の彼は優しさが空回りしているところがあって、だから、国を背負っているにも関わらず投獄されたり(笑)周りに助けられています。でも、
リュウトは自分が助けられていることも周りの優しさもちゃんと知っています。
幸橋:
同一人物であるキャラたちは外見が違うように思うのですが?
涼風:
特徴は同じですよ。
リュウトは黒髪と青っぽい瞳、真は髪と瞳がオレンジっぽいです。それぞれの絵師さんの良さを出したいので、そこまで合わせてはいないです。
絵師さんに関わらず、各作品で別のスタッフを迎えるので、前作と合わせるとなると、前作も知らなくちゃいけないのかなと負担になってしまうので、毎回リフレッシュさせています。
繋がっていると言うと最初から見ないといけないのかなと思う人もいるかもしれませんが、1作品ずつ完結するので、おまけ要素として繋がっていると思って頂ければと思います。
『唯一ダークな「Belleza-消えた肖像-」』
幸橋:
涼風さんの作る物語は優しい世界だなと思いつつ、Belleza-消えた肖像-だけ雰囲気が違いますよね。
涼風:
この作品は、優しすぎる作品やハッピーエンドが多かったので、最初からバッドエンドを作りたいと思って作りました。
幸橋:
バッドエンド以外でBellezaのテーマは何だったんですか。
涼風:
確かエリオットが言っていたのですが……って、キャラにシナリオを任せる人は、必ず確かエリオットが言っていたような気がするといった発言になるんですが(苦笑)美しいとはどういうことかがテーマではありました。
私もある意味、芸術家気取りではあるので、目に見えない、表現したい美しさは大抵周りの人にはわからないので、芸術家のその葛藤を表せたら良いなと思ったんです。視聴者に美しいとは何かを問いかける作品ではありました。死神とわたしと同じ真君が出てくるという要素はおまけですね。
幸橋:
他には何かありますか。
涼風:
他の作品もそうですが、この作品もキャストに恵まれているなと思っています。
幸橋:
そう言えば、涼風さんの作品は募集なんでしたっけ?
涼風:
ゲストとして同じ役者をお招きする場合など一部を除いて全部募集です。企画者としては、作品に携われて良かったなと思ってもらえたら良いなと思って作っているので、以前お世話になりましたという応募が来ると感動します。
幸橋:
確かに募集であのスタッフキャストをそろえてしまうのは凄いですが、大変ではありませんか。
涼風:
新しいものが好きなんで、同じ人をあんまり使いたくないんですよね。主人公や二枚目の役が同じ演者さんで固定したくないんです。同じ人を使うにしても、それまでとは違ったキャラクターをやってもらうという実験的な要素で同じ人を使うというのはありかなと思っていますが、出来れば、主人公は新しい人を使いたいなと思っています。
主人公ダミアン役に松永さん
*11を選んだのは、爽やかで明るい系の声の人を影があって最後堕ちていくようなダークな感じにしたいなと思ったからです。
幸橋:
確かに松永さんがああいうキャラにキャスティングされるのをあまり見かけませんね。あるのかな?
涼風:
問題発言連発しているかもしれませんが、遊んでみたいと思っちゃうんですよね(笑)ダミアンの時はラスボス感を出していた松永さんをEndless Dreamではへとへとですぐ弱音を吐くような新米兵士にしてみたり。
『本編軸とは無関係な「Endless Dream」』
幸橋:
そんなEndless Dreamですが、これはミュージカルを作ろうとしたんでしょうか。
涼風:
そうです。ディズニーみたいなミュージカルを作りたいと思って、全部オリジナル曲で頑張りました。
Endless Dreamだけ今、構想している本編軸とは全く関係ない物語で、キャラがリンクしないんです。
幸橋:
へえ、そうなんですね。
涼風:
ボイスドラマというよりも自分オリジナルの曲が作りたいなと思って作った作品なので。そこにボイスドラマも合わせたら長編になりました(笑)
現実ではない夢の世界だからとキャラを考えたら、あらぬ方向に行ってしまって、全員キャラが濃くなりました。これまとまるのかなと心配しましたが、全て猫のガッティに落とし込めば収まるだろうと。そういうシナリオになっています。
幸橋:
ガッティ、そんな重要人物だったんですね(笑)
涼風:
ガッティがいないとみんな喧嘩したままで取り返しがつかないんですよね。主人公のエリックも良い子なのですが、根が天然なので、終わらないんです。
幸橋:
ガッティ好きですよ(笑)
涼風:
私も大好きです。みんなの人気者ガッティですよね(笑)
幸橋:
そう言えば、キャラは細かく設定すると仰っていましたが、夢の世界、Endless Dreamはどんな感じなんですか。
涼風:
説明するのが難しくて、企画書を見て貰った方が早いのですが、私の企画書はキャストスタッフさんにもめちゃくちゃ細かいと言われるんですよね。
幸橋:
(企画書見せて貰う)確かに細かい……キャラの見た目とか、それぞれのエリアの設定とか視覚的な情報こんなにいりますか?ってくらい細かい(苦笑)あと、なんと言っても気になるのが、心境(笑)
涼風:
各キャラの本編前、本編中、本編後の心境も書いています(笑)
幸橋:
本編前後、特に後を企画書に書くって面白いですね。
涼風:
キャストさんはこういうのがあると良いのかなと思って。あと、ゲームを作る場合も文章でしか心情を表せられないので、ゲーム作りの経験からも来ているのかもしれません。キャストさんも細かいと白目をむくのですが、ここに書かれていること以外は自由にやって良いのでとお伝えしています。
『全てがそろった「怪盗鑑定士の冒険」』
幸橋:
ファン根性で一通り作品について聞いてしまいましたが、涼風さんご自身としてはどの作品に思い入れがありますか。
涼風:
怪盗鑑定士の冒険は、キャストさんも素材も全てがそろっていて編集が楽しかったです。
幸橋:
全てがそろっている?
涼風:
自画自賛なのですが、
ぱっと見、シナリオが完璧だと思ったんですよ(笑)ちょうど探偵ものがメディアで流行っていてルパンとか
シャーロック・ホームズが取りあげられた時に思いついたシナリオでした。
役者もタイミングが良くて、2週間ほどしか募集しなかったんですが、素晴らしい人が集まってくれて。
イラストレーターの葉丸さん
*12も今は多方面でご活躍されているのですが、当時はボイスドラマ作品に関わるのが初めてだったみたいで。
ジャケットイラストの下絵が来た時はテンションが高かったですよ。
大好きなフランス・ルーブル美術館を出せましたし、作るのが楽しそうだなと思いました。
そして、
何よりStella Cieloから出す出すと言っていたリュウトをやっと出せたので。
幸橋:
本編の構想に出て来るキャラを各作品で出すためのルール・決まりってあるんですか?
涼風:
キャラを出す本編軸の物語と媒体は決まっています。ただ、それとは別に好きに作っているサブの物語もあって、そのサブの物語に出せそうだなと思ったら、キャラを引っこ抜いて出しています。
怪盗鑑定士も最初サブの物語だったんですが、重要キャラがかなり出てくるので、本編と同列扱いになっています。
幸橋:
誰が本編に出て来るキャラなんですか?
涼風:
ほとんど全員が本編軸に登場する重要キャラですね。毎回、物語の主人公は変わりますが、少なくとも、バトル警視とルパンは次回作に出る事が決まっています。
リュウトが本編の主人公なのになかなか出て来ないので、フラグを回収できないです(苦笑)
幸橋:
すごく壮大な物語ですね……壮大過ぎて呆然としたりしませんか。
涼風:
人生終わるまでに書けたら良いなあと思っています。1年に1本のペースで作ろうと思っていますが、それでも10年くらいかかりますね。
幸橋:
大変……(苦笑)
涼風:
考えている時が一番大好きですが(笑)それに沿ったBGMをどう作ろうかとか。
壮大な世界観で自分のシナリオと音楽を紡いで、ちまちま作るのが好きです。他の人の世界に入るのはもっと大好きですが(笑)
幸橋:
音楽をメインとしているのかと思っていたので、ボイスドラマは時々作ってくれるだけでも嬉しいなと思っていました。
涼風:
作曲はもちろん好きですが、ボイスドラマを作ることも好きです。ただ、今後、媒体をボイスドラマにするかはわかりません。ボイスドラマはゲームより早くまとまって進むのが利点なので、サブは全部ボイスドラマにしようかなとは思っています。ゲストで本編軸の主役級を入れたりして。
幸橋:
本編はゲームですか?
涼風:
悩みどころですが、
次の本編軸の作品に関してはビジュアルノベルです。バトル警視とルパンの立ち絵がこれから届くので楽しみです。
幸橋:
もう動き出しているんですね。
涼風:
はい。もっと自由度がきいたゲームを作りたいなと思っているので、プログラミングも勉強中です。3Dのゲームを作りたくて、そこではまた別のお話でバトル警視とせっちゃんは出ると思います。
幸橋:
涼風:
せっちゃんはリュウトとすごい友達なんですよ。エアー友達せっちゃんを早く現実にしてあげなくてはいけないのですが、そこまで持って行くのに何年かかっていることか(苦笑)
幸橋:
せっちゃん、そんな重要キャラだったとは。
涼風:
怪盗鑑定士では、
リュウトの妄言について周りのキャラ的には「これから責任のある立場になるので、そういう趣味があってもいいのかな」と冷めた目で見られていますけどね。
Stella Cieloではリュウトはせっちゃんの眼鏡をかけています。
幸橋:
あの眼鏡が!? めちゃくちゃ友達じゃないですか!
涼風:
そうなんです!
幸橋:
せっちゃんがどういうキャラか早く知りたいです。
『もうわかっているね? 恒例の好きなサークル、演者さん、作品』
幸橋:
ということで、恒例のゲストさんの好みをあばくこのコーナー。早速、好きなサークルさんは?
涼風:
iDearoomさんです。お世話になっているということもありますが、あのほわほわした世界観が良いなと。
幸橋:
ほわほわ?
涼風:
続きがあるような終わり方がiDearoomさんの雰囲気だなと思います。
ナルコレプシー*13もあまつもカイチ
*14も。
そのなんとも言いがたい雰囲気が、自分の曲のなんとも言えないジャンルと合致している気がします。
幸橋:
では、好きな作品は?
涼風:
サークルさんも好きなのですが、箱庭Sさん
*15の
「浅瀬クエスト」*16ですね。「ペンギンが空を飛ぶ時、」
*17も好きなのですが、
海の動物をこんなに面白くリアルに、魚の特徴もわかった脚本は自分で絶対書けないと思います。動物の描写がすごい。ボイスでよくここまでとすごく好きでした。 あとは、
「鳥籠街の少年荘」*18ですね。
寂れた舞台の中であるのに暖かみがあるところが好きです。
幸橋:
浅瀬ク
エストがこのインタビューで意外に人気なんですよね(笑)鳥籠街もですけど。
では、続いて、好きな演者さんは?
涼風:
全員!と言わせて頂きたい所なのですが、
さばこさん*19、
ゆゆさん*20、
松永さんですね。
さばこさんとゆゆさんは演じる前にメールでこういう方向で行きたいのですが良いですかという確認があって、1つ1つの作品に対しての思いが熱いのかなと感じました。さばこさんはアドリブがすごくて、車がシャルルたちのせいでが渋滞になった時のセリフは全部アドリブなんですよ。ゆゆさんはあの叫び声がすごい。台本には叫び声をあげてくださいとしか書いてなかったんですが、同じ叫びでもギャグ系やホラー系とは違って声優さんすごいと思いましたね。
幸橋:
確かにゆゆさんの叫び声はびくっとしましたよ(苦笑)松永さんは先ほど名前が出てきましたね。
涼風:
松永さんはギャップがあって好きでした。遊んでみようと思ってキャスティングしたら、思いのほか、ダミアン役がすごくて。好きな演者さんをギャップで選ぶのもどうかと思うのですが。
幸橋:
いや、良いと思いますよ(笑)
涼風:
実は声優さんにはこういう側面がある、こういう配役どうですかというのを提供し続けたいなと思っています。リスナーさんにも知っているはずの声優さんがこの作品だけは違うという驚きを拾って頂けたらな、と。いつもお世話になっている方は新しい別ジャンルに飛び込んで欲しいですし、新しい人は活躍できる場を与えられたらなーとは思っています。
『今後の予定』
幸橋:
これからの予定について、春M3は何か作品出されるんですか?
涼風:
お月さま交響曲さん*21の
「聖典テラリウム」*22に携わる予定です。
涼風さんっぽいねと言われると思います。だいぶやばいです。
幸橋:
いや、だって、お月さま
交響曲さんというだけで、良い意味で嫌な予感がめちゃくちゃしますから(笑)あらすじもこれやばいやつだとひしひし感じました。
涼風:
初参加なのにだいたいわかりますよね。自分の名前がネタバレになっていないか心配ですが、面白い感じに出来上がっています。あとは、コンセプトアルバムに1曲参加しています。
幸橋:
春M3は以上でしょうか。
涼風:
そうですね。秋に曲提供が多いです。既に台本頂いていて、本気で作ろうと思っています。あ、いつも真面目に作っているんですけどね! いつも以上にということで。
秋M3とは関係ないのですが、
「Ghost Hospital」*23というゲーム作品で作中の曲を半分くらい作曲しています。こちらは
今年の10月にフリー頒布予定です。
幸橋:
これはどういった経緯で参加することに?
涼風:
以前からGhost Hospitalは知っていて、世界観が面白いなと思っていたのですが、
Twitterで作曲者を1人だけ募集していて、これは!と思って応募したら採用して頂けました。
様々な曲が作れたので、しばらく音楽方面はこれで満足しようかなと思っています。
幸橋:
これで満足する?
涼風:
いろんなジャンルの曲を作りたいなと思っていますが、まずはせっちゃんを出さないと本編が動かないので(苦笑)今年は音楽を抑えめにと思っています。
幸橋:
涼風:
今年の冬か……遅くとも来年の2月14日にはと思っています。
幸橋:
なんで2月14日なんですか? バレンタイン?
涼風:
ゲームに登場する主要キャラが死神とわたしの次の作品である
「The Time of Thaw」*24のキャラとせっちゃんとバトル警視とルパンなのですが、その
The Time of Thawの主人公の理恵奈さんの誕生日に合わせています。
幸橋:
ちなみにこのゲームって、……声つかないですよね?
涼風:
いえ、声はつけようと思っています。他にも通常のゲーム通り選択肢を選ぶ以外に、ボイスドラマのように楽しめるように、グッドエンドまでは自動で進むストーリーモードを選べるようにしようと思っています。
幸橋:
それ、めちゃくちゃっ!嬉しいです(力いっぱい)
涼風:
本当ですか、やった!
幸橋:
私、もう本当にゲームが苦手で、すごく気になるんですが、もしかしたら出来ないかもしれないと思っていました。
涼風:
毎回カチカチクリックして次に行くのは大変というのは、事前の調査でわかっていたので。あと、ボリュームがボイスドラマの比ではないので、
ストーリーモードでもセーブ機能をつけて、セーブしたところから始められるようにする予定です。
プラットフォームとしてもiosやandroidにも対応して通勤通学でも楽しめるようにしようと思っています。本編軸のだいたいのキャラが出てくるので、楽しみにしていてください。
幸橋:
至れり尽くせりで有難い限りです。
だいぶお話聞いてきましたが、他にもやってみたいことはありますか。
涼風:
これからも音楽を作って、ボイスドラマに関わりたいと思っていますが、3DやVRゲームにも興味があります。
幸橋:
私があまりゲームをやらないせいではあるのですが、ゲームで物語を表現する利点って何なんでしょう。
涼風:
ボイスドラマとの比較になりますが、目で見てわかることですかね。やっぱり見て理解した方がわかりやすく伝わりますし、あとはユーザーがキャラを自由に動かせる優越感でしょうか。ボイスドラマや小説ほどリスナーさんの自由度がなく、企画者の主張が通ってしまうのがデメリットではありますが。
幸橋:
なるほど。
涼風:
3DやVRゲームに関しては、まだまだなので、まずはストーリーを進めます!
幸橋:
楽しみにしています!
以上、涼風ひさめさんのインタビューでした。ありがとうございました!
『後記』
企画者・演者というカテゴリー以外の方にもお話を聞きたいなあと初期から思っていたのと純粋に涼風さんのキャラがツボり過ぎて大好きだという大きく2つの理由からお声がけしました。が、そこは音楽2のインタビュアー、作曲の話は早々に企画の話へと移り、そして、作品をまたがってキャラが登場するという爆弾を落とされるのでした。インタビュー始めて一番の驚きだったかもしれません。明らかに同姓同名の真君にすら引っかかりを覚えない自分の迂闊さを殴り飛ばしたいですね。
でも、お陰で涼風さんの次回作が益々楽しみです(笑)
***
インタビュアー/幸橋
幸橋 (@kusanotsuki) | Twitter
ボイスドラマリスナー。
2009年よりボイスドラマ作品を聴き始め、2013年より開始した感想メモブログ「視聴note」にてボイドラ関連の記事が900件を突破(2018年1月時点)
「ボイドラと人」に関しての問い合わせ
【皆さんからの紹介をお待ちしています!!】
「番外編リスナーおすすめボイスドラマ作品紹介」では、皆さんのおすすめボイスドラマ作品紹介を募集しています。
以下のアンケートフォームから質問に回答してください。運営者から連絡先へご連絡致します。聴いている作品数、活動の有無など条件はありません!(※あまりにも露骨な自作品の宣伝の場合、修正をお願いする可能性があります。ご了承ください)
回答は順次、「ボイドラと人」ページにてご紹介させて頂きます!
よろしくお願いします!
<回答フォーム>
※①作品の基礎情報(注釈)は幸橋が追記致しますので、おすすめポイントだけお書きください。
※②最後の回答以外、出来るだけ、ネタバレは避けて下さい。
※③多少の加筆修正をお願いする場合があります。
※④どうしても書けないものは回答をとばしても構いませんが、基本全問回答してください
※⑤各質問、回答は基本は1つ(最大3つまで)でお願いします。
※推奨※先にワードやメモ帳などで書いて、コピペすることを推奨致します。
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